2016-12-01

タイ:暗示的商標に関する画期的な判決- by Tilleke & Gibbins

最近のタイ商標法改正(Trademark Act No. 3 B.E. 2559)ではいくつかの重要な変更があった。商標法第7条(2)「商品の性質又は品質について直接言及せず,かつ地理的名称でない,大臣の告示により定められる語」で規定されている識別性に関しては何も変わっていないのだが、ブランド・オーナーはしばしば商品やサービスを直接または間接的に説明する標章を創作する。タイの登録官(registrars)は識別性の要件を厳格に解釈し、標章の解釈やディスクレームすべき部分などに広い裁量権を持つ。加えて商標委員会(Board of Trademarks)は識別性に関する暗示的標章の拒絶を巡って商標局とブランド・オーナーの争いに対して殆どの場合商標局側に立つ。最高裁判所の最近の判決(Case 2587/2559)にタイのTMB銀行(原告)と知的財産局で争われた事件がある。原告は “TMB Make THE Difference” を銀行業(36類)で商標出願した。登録官は記述的という理由で“Make THE Difference” をディスクレームすれば登録を認めるとした。これに原告は納得せず商標委員会に審判請求した。原告はこの言葉を広く継続的に使用しておりセカンダリー・ミーニングを獲得していると主張したものの、商標委員会は原告が提出した証拠は不十分として登録官の査定を追認した。原告はこれを不服として中央知的財産・国際取引裁判所(Intellectual Property and International Trade Court)に控訴した。原告は“Make THE Difference” は3つの言葉の独自の並びであり、サービスの品質や特徴を直接的に記述したものではないと主張したものの、中央知的財産・国際取引裁判所は登録官と商標委員会の判断を支持した。そこで原告は最高裁判所に控訴した。最高裁判所はこれまでの見方を変え、原告のサービスの実情における言葉の意味を考察し、“Make THE Difference” をディスクレームすることなしに、“TMB Make THE Difference” の商標登録を認めた。この裁定では最高裁判所は暗示的標章と記述的標章を明確に区別した。もしこの判例がこれからも登録官や商標委員会によって引用されれば、このインパクトは継続するであろう。

本文は こちら (Important Supreme Court Decision on Suggestive Mark)