2017-01-21

ラオスにおける地理的表示の導入 – Tilleke and Gibbins

ラオスの国家科学技術庁(The Ministry of Science and Technology:MOST)は2016年10月25日付け知的財産法(No. 1119/MOST)で地理的表示(GI)の導入を発表した。この決定により国内と海外のGIがラオスで登録可能となる。この発表には知的財産法(No. 01/MOST of 2011)に記載されていないGIの登録手続き等に関する詳細が示されている。

バックグラウンド:GIはある商品の品質や評価が特定の地理的原産地に由来する場合に、その商品の原産地を表す標識である。国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations:FAO)とフランス開発庁(Agence Francaise de Developpement:AFD)が協力してラオスの貧困を和らげるためGIの法的フレームワークを作り上げた。GI認証により商品の品質基準が国際GI標準に合うようガイドラインを定めることで、ラオス政府は国内製品の輸出を促進し、経済の発展に繋げたい考えだ。

GIの登録要件:MOST発表の第6条と第7条では、GI登録を希望する生産者団体、作業従事者、企業、関連業者はGI組合の設立を必要としている。組合は組合員全員がGIの仕様基準を満たしていることを保証する責任を持ち、GI商品の生産者や作業員に変更があった場合にはラオス知的財産部(Department of Intellectual Property:DIP)に届出る必要があり、GIに関するいかなる法令変更にも対応しなければならいない。DIPがGI登録を審査し、認定を与える機関となる。

一人の生産者や作業者でもGIの条件を満たせば、個人として、または法人としてGIの認定を受けることができるが、稀なケースとしている。第10条ではGI出願の要件が示されている。一旦出願書類がDIPに提出されると、DIPは60日以内に予備審査を行い、提出書類に不備がなければ、出願人に出願が受理されたことを通知する。その後、当該商品の原産地や評判に関する調査を含む実質的な審査を行うが、既存のGIについて、先登録商標との類似関係なども審査する。審査ですべての要件を満たしていると判断されれば、DIPによって登録の手続きに進むが、要件を満たしていないと判断された時は、出願人にその旨通知され、90日以内の応答が求められる。また出願中の変更についての要件は第17条に記載されている。なお出願書類は英語記載でも良いが、出願後90日以内に翻訳した書類の提出が求められる。

登録手続きが終了すると、GIは登録され知財ガゼットに公告される。そしてGI認定書が出願人に発行され全ての手続きが終了する。国内のGIでは出願から認定書発行まで12~18か月要すると言われているが、外国のGIの場合は基本合意書を交わした国かどうかでかかる期間が異なるものと思われる。ラオスはこれまでカンボジア、ベトナム、日本、シンガポールと基本合意書を交わしている。出願人がこれらの国の1つでGIが登録されていることを証明すれば、認定書発行までの期間が1~3か月程度は早まることが期待される。

ラオス政府はGIを2025年までに導入すると計画しており、現在海外でもGI登録できそうな国内商品の調査を継続している。ラオス政府には、GIに限らず昨年3月7日に加盟したマドリッド・プロトコルなども通じて、海外の投資家にとってラオスが魅力的な投資先となるようラオスの評判を高める願いがある。

本文は こちら (Geographical Indications in Laos: A Boon for Local Producers and Investors?)