2017-02-19

米国:「ホテル・カリフォルニア」に見る音楽と商標 - Novagraaf

「Hotel California(ホテル・カリフォルニア)」は、米国のロックバンド、イーグルスが1977年に世界的な大ヒット曲だが、イーグルスは2015年のコンサートの最後に活動を休止していた。メキシコの会社Hotel California Baja LLC(以降、HBC)は文字商標「Hotel California」をUSPTO(米国特許商標庁)に出願し、イーグルスが異議を申立てた。HBC商標の指定商品はホテル・サービスではなく、化粧品、パーソナルケア、眼鏡、電話のアクセサリー、宝石など、様々な分野に亘っている。HBCの出願当時、イーグルスは「Hotel California」を商標登録していなかったが、HBCの出願をきっかけに、「Hotel California」をUSPTOに商標出願した。イーグルスは1977年以来本件商標を使用していることで商標権を主張した。また、イーグルスはHBCがイーグルスと協力して本件ブランドを使用していると誤解を与えており、「Hotel California」の歌詞の一部がHBCのウェブサイトに掲載されていることから、意図的にイーグルスやイーグルスの曲と関係があるように見せかけていると指摘した。

音楽バンド創設時には、バンド名(ヒットした曲名)がミュージシャンにとってあまり重要ではないように思うかもしれないが、商品化を考えたとき、それらは貴重な資産となる。したがって、バンド創設プロセスの一環として、ブランドとしてバンド名の商標検索を行い、誰もその名前を使用していないことを確認することが推奨される。保護すべき地域および指定商品・役務で商標登録することは、選択したバンド名を使用する権利を前進させる。今や商品化の分野が多岐に亘ることがあるため、9類(ビデオ/サウンドレコーディング)と41類(エンターテイメントサービス)に含まれる商品以外でも保護すべき商品・役務分野も指定しておく必要がある。

イーグルスや「Hotel California」のように、あとになって獲得した識別力を主張することもできるが、バンド名や音楽タイトルを権利化することにより、後の紛争を回避することができるばかりでなく、資産としての価値を守り高めることにもなる。音楽バンドにとって、最初に必要な手続き(名前を検索し、登録し、権利を明確にする)を行うことは重要であり、それにより安心して名前を使用できる。何といっても、音楽バンドにとって最も重要なのは、本当にやりたいこと、つまり自由に音楽が作れることなのだから。

本文は こちら (Trademarks and music: No longer living it up at ‘The Hotel California’)