ロンドン高等法院は昨年11月に英国がEUに正式に離脱通告をする際には議会承認が必要との判決を下し、政府が上訴していたが、1月24日に英国最高裁判所がこの判決を8対3で支持し、政府側の敗訴という結果になった。
英国のEU離脱をめぐる不確実性は続くことになるが、一つ確かなことはこの動きが知的財産と法的権利を含め、地域全体のビジネスに長期的な影響を及ぼすであろうということだ。
EU基本条約(リスボン条約)第50条は、EU(欧州連合)からの離脱を希望する加盟国に対し、欧州理事会に離脱の意思を通知することを求めている。英国の国民投票結果自体は離脱通知とはならないため、離脱プロセスはまだ公式に進行中とはなっていない。この最高裁の判決は、英国政府が議会の承認なしに離脱通知を行うことができないと判じるものだったが、最高裁はまた英国政府が第50条を発動するのに、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの自治議会の承認をとる必要はないとも判じた。
一度離脱通知が出されると、英国とEUとの間で離脱交渉が開始されることになる。離脱プロセスは最大2年(両当事者が合意した場合はそれ以上)かかることもあり、欧州単一市場における英国の関与について、将来のEU域内の通商に対してどのような出口になるか明確なものはなにもない。これらの問題(他の問題を含み)は、交渉が進めば次第に明らかになってゆくものと思われる。Novagraafは、これからも最新情報を提供する予定である。