米国のファーストレディ、メラニア・トランプ(Melania Trump)は母国スロベニアで弁護士を雇い、メラニア・トランプの名前と肖像が第三者に不正使用された場合に備えている。スロベニアでは、夫のドナルド・トランプが米国大統領に選出されて以来、メラニア・トランプの名前と肖像が許可なしに様々な商品に使われている。例えば、蜂蜜の瓶には、メラニアの写真と「メラニア・トランプの庭から」というラベルが貼られている。また、メラニアの名前の入った靴、ランジェリー、ケーキ、サラダも販売されている。
スロベニアの法律では、同意なしに誰かの名前や写真を使用することは認められていない。したがって、メラニアの法律事務所は、侵害の可能性のある人に向けたプレスリリースを出して警告している。弁護士は商業目的に「メラニア・トランプ」を使用することは法律違反と個人的権利の侵害になると警告しているが、これまでのところスロベニアで法的措置は講じていない。
米国のファーストレディは、時計、宝飾品、化粧品、ジュエリー、化粧品の分野で「メラニア・トランプ」の商標を米国で登録している。米国商標法では、同意がなければその人の名前や肖像からなる商標の登録は拒絶されると規定されている。生存中の特定の個人を示すファーストネーム、略称、仮名にも適用される。プリンセス・ケイトは明らかにキャサリン・(ケイト)・ミドルトン妃を指し、オバマ・パジャマはバラク・オバマ元大統領との関係を示している。つまり、これらの人の同意なしに商標出願すれば拒絶される可能性があるというわけだ。
また米国商標法は、有名人の名前を商標的に使用し、それが有名人とブランドに関係があることが示唆されるような場合、当該商標出願の拒絶を保証するとも規定している。昨年7月、第三者が米国で「メラニア・ダイエット(Melania Diet)」を商標登録しようとしたが、メラニア・トランプは「健康とフィットネス」のイメージとして知られているため、(当時可能性のある次期)ファーストレディと混乱する虞は高いと考えられ、「メラニア・ダイエット」の商標登録はUSPTO(米国特許商標庁)によって拒絶された。メラニア・トランプまたはファーストレディへの明確な言及を含む商標出願は、出願人がトランプ夫人の同意を得ていることを証明できない限り、USPTOによって拒絶される可能性が高い。
しかしながら、英国の商標出願については同じことは言えない。対照的に「英国商標登録官は有名人の名前であることを理由に商標登録を拒絶しない。商標出願に対抗したり自分の名前や肖像に対する権利を主張したりするのは有名人自身の責任となる」とNovagraafのNora Fowler氏は説明する。これは米国を含むいくつかの他の管轄区域とは異なり、英国では肖像権(他人が自分の名前や肖像を悪用することを防ぐ権利)が明示的に保護されていないことによるものである。Nora Fowler氏はまた「有名人は、自らの名前や肖像を商標登録して保護することがしばしばある。これは第三者の商標出願に対する異議申立てや第三者の使用に対する侵害訴訟が、登録された商標権に基づいてより容易に行うことができるためだ」と指摘している。