2017-04-21

インド:裁判管轄権問題 - R.K.DEWAN & Co.

Indian Performing Rights Society Ltd. 対 Sanjay Dalia & Anr. 事件の最高裁判決は、1999年商標法および1957年著作権法に基づき裁判管轄権に関して、それまでとは異なる解釈を採用したが、最近、Allied Blender & Distillers Pvt Ltd 対 Prag Distilleries Pvt Ltd事件で、裁判管轄権の問題が再びデリー高等裁判所に持ち込まれた。

原告(Allied Blender)は登録商標「Officer’s Choice」の権利を侵害したとして、被告(Prag Distilleries)に対して訴訟を提起した。被告はアーンドラ・プラデーシュ州においてのみ該標章を使用していたと主張し、それ故にアーンドラ・プラデーシュ州の訴因に関しては、デリーではなくアーンドラ・プラデーシュ州で提訴されるべきだとして、被告は1908年民事訴訟法(Order 7 Rule 10)に基づき、デリー高等裁判所は裁判管轄権を有していないと主張した。高等裁判所の単一裁判官は、Sanjay Dalia事件とUltra Home Construction Pvt Ltd. 対 Purushottam Kumar Chaubey & Others事件の判決を引用して、原告は原告の支社がある裁判管轄区域において訴訟原因の一部が発生したことを証明しなければならず、単に被告に対しての嫌がらせであってはならないと判じ、被告はOrder 7 Rule 10の適用に成功した。この判決は上訴され、控訴裁判所は事件の事実関係を熟考した上で以下の2点を確認した。1)被告は既に侵害を犯していること、2)被告の事業がデリーやインドの他の地域にも拡大する可能性があるという懸念があること。これらの事実を踏まえて、控訴裁判所は、このような状況で原告がデリーで訴訟を提起するのは正しいと判断した。

この事件は、2つ以上の訴因がある場合の管轄権問題を非常に興味深く扱っている。そのような状況では、複数の裁判所がその問題を聴取し決定する管轄権を有する可能性があると判示された。さらに1つの訴因がA地域で発生した侵害に関連し、別の訴因がB地域の侵害の懸念が指摘されるような場合、その訴訟を提起する当事者はA地域またはB地域のいずれかの管轄裁判所に訴訟を提起することができると考えられる。これはSanjay Dalia判決を回避する手段として利用され、当事者が当該管轄区域での侵害のおそれを理由に便利な裁判所に訴訟を提起することができることを意味している。この問題がさらに上訴されるかどうかはまだ分からない。

本文は こちら (Territorial Rights)