ドメインネームは、どの組織のセールスやマーケティング活動においても重要な役割を果たしているが、ドメインネームの登録・管理と知的財産との関係は見過ごされやすい。ドメインネーム・マネジメント戦略を策定する際、どこから始めるべきだろうか?ドメインネームと商標について考慮すべきポイントを検討する。
- WHAT?
まず使用するドメインネームについての検討から始めるが、その際登録すべきものと潜在的に登録する可能性のあるドメインネームに関する階層構造を考える必要がある。通常、会社名はトップに位置し、次にコアブランドや製品/サービス名(商標保護されることが望ましい)が続く。考慮すべきは二次的なブランドやあまり知られていないブランドのドメインネームである。また、防衛目的の登録も検討した方が良い。たとえば、会社名やブランドのスペルミスや会社に関連する用語/ブランド/スローガンなどである。最後に、(例えば、新製品の発売またはマーケティングキャンペーンに関連する)一回限り使用するドメイン名の登録、維持も検討が必要かもしれない。
- WHERE?
次に重要なのは、どのトップレベルドメイン(TLD)を使用するかである。最も人気がありグローバルで汎用的な「.com」で、最近利用したいと思うようなドメインネームを見つけるのは非常に難しくなってきており、そのため「.BRAND」等を含めて無数のトップレベルドメインが拡張されてきた。それにより、ブランドオーナーは多くの選択肢をもてるようになったが、一方顧客に最も響くトップレベルドメインや侵害行為を未然に防ぎやすいトップレベルドメインを選ぶことなど、一番効果的なトップレベルドメインを選ぶことを難しくさせてもいる。たとえば、地域ベースのドメイン(.Londonや.co.ukなど)を選択したとき、これによって市場が制約されるのか?分野ベースのドメイン(.shopや.greenなど)を選択したとき、そのドメインが流行りになるかどうかを確認する必要があるか?そして、登録しないことを選択したドメインはどうだろうか?第三者がそのドメインを登録し、不正に利益を得ようとしないことを確信できるだろうか?継続的な監視は、新しいドメインが市場に出始めたときに悪意ある行為から保護するための鍵となる(NovagraafはWeb監視サービス「NovaTrack」を提供している)。
- WHEN?
商標権者は、新しいドメインの提供開始に伴い優先登録の恩恵を受けることができる。この優先登録をサンライズ登録(通常30日以上継続)という。商標権者は、新しいドメインが一般公開される前に、商標名と一致するドメインネームを登録することができる。唯一の制約は、商標が商標保護プログラムTrademark Clearinghouse(TMCH)に登録完了していなければならないことだ。既存のドメインで商標とドメインネームを一貫して保持するのであれば、製品のリリース・サイクルにおける使用可能性をできるだけ早く確認することが重要であろう。
- HOW?
ドメインネームの取得、維持に関するコストはそれほど高いものではない。一方、侵害サイトが見つかり、それを放置することでビジネスの継続を許すことは、自社の収益や評判の低下をまねき、訴訟費用や対策時間の増加をまねくおそれが高くなる。他の知的財産と同様に、ドメインネームのポートフォリオを考えるべきであろう。特に、明確な管理責任を持ち中央の組織で記録を保持すること、登録、監視、権利行使のための明確なプロセスを実施すること、ビジネス活動に沿ってドメインネームのポートフォリオと商標のポートフォリオが維持されていることを確認するため、定期的なレビューを行うことが重要だ。
- WHO?
ウェブサイトは歴史的にマーケティングチームの管轄であることが多く、そうなったのには理由があるはずだ。しかし、ドメインネームを担当するチームには、ドメインネームの法律と実務に関連する商標の基本的な理解が必要である。商標の使用に関するルールを設定し、マーケティングチームとのトレーニングセッションを持つことで、第三者の登録やルールに反するオンライン活動に対抗できるように、明確なコミュニケーションチャネルの提供を検討してほしい。