2017-05-26

中国:最高裁判所が初めて知的財産権司法保護綱要を発表 - CCPIT

4月24日に開催された全国知的財産権宣伝ウィークの記者会見で、最高裁判所は「中国裁判所における知的財産権司法保護状況(2016)」を発表し、また「中国知的財産権司法保護綱要(2016-2020)」を初めて公表し、2016年の中国裁判所10大知的財産権案件と50の知的財産権典型案件を併せて発表した。最高裁判所知的財産権審判廷の宋暁明責任者が関連状況を説明し、記者の質問に答えた。最高裁判所の王玲スポークスマンが記者会見の司会を行った。

  説明によると、「中国知的財産権司法保護綱要(2016-2020)」(以下、「綱要」と略す)は最高裁判所が特定の裁判分野について初めて発表した保護綱要であり、知的財産権司法保護の主旨、基本原則、主要目標及び重点措置を明確にしたものである。

  宋暁明責任者によると、2016年は全国裁判所で知的財産権に関する案件数が引き続き増加し、特に経済発展が進んでいる地域における案件数の増加が著しかった。2016年に裁判所で新規受理した知的財産権民事、行政及び刑事一審案件は152072件であり、2015年より16.8%増加した。うち民事一審案件の増加が著しく、24.82%に達した。知的財産権民事一審案件の中で、著作権案件が同期比30.44%増の86989件であった。北京、上海、江蘇、浙江、広東の五省市で受理した案件数は高い水準が維持され、新規受理された各種知的財産権案件は全国総数の70.37%を占めている。

同氏の説明によると、現在、先端技術に関わる難しく複雑な案件、市場占有率や著名ブランド保護に関わる商標紛争案件、情報ネットワーク通信に関わる著作権紛争や市場競争秩序維持に関わる競争紛争が多くなっている。審理の難易度が上がり、多くの案件が複雑な技術的事実の認定を必要とし、また巨額な利益配分や、社会公共利益、国家利益と知的財産権利者の利益のバランスに関わっている。これらに対し、裁判所は裁判において知的財産権の仮措置を積極的かつ合理的に適用し、損害賠償金額を科学的に計算し、知的財産権の司法救済の迅速性、利便性及び有効性を高め、経済成長を躍進的に牽引し且つ自主知的財産権を持つ核心技術や著名ブランドに対する保護を法に従って強化し、賠償額と知的財産権の市場価値とを一致させるとともに、権利保護のコストを充分に考慮し、弁護士費用などの合理的な訴訟費用を権利侵害者に支払わせ、悪質で常習的な侵害等の深刻な権利侵害行為に対し損害賠償の度合いを高めるなど、知的財産権の市場価値の充分な実現に対する司法保護の積極的な役割を明確に示している。