最近、パイレーツ(pirate)の2商標が争いとなった。両商標とも指定商品に菓子とチョコレートを含んでおり、商品としては同一であったため、EUIPO(欧州連合知的財産庁)が両商標の類似を問われた事件である。
商標が同じキャラクターや動物で構成されることはよく見られることで、その場合は観念的な類似として認識されるが、観念的な類似だけでは商標の類似として不十分であることが多く、商標が類似するためには外観や称呼も似ていなければならない。
今回のパイレーツ商標の場合、「PIRATE(パイレーツ)」の文字で「PIRAT」の部分が同一である。これは、(ある程度の)外観的類似性と称呼的類似性を示している。EUIPOは、両商標には多くの図形的な違いがあるが、商標の全体的な印象は、消費者が両商標を関連付ける可能性があるほど類似しているとの認識を示した。そのため混同の虞は十分あるとして異議を認めた。
出願人は、商標登録されている中にはパイレーツ・ブランドが多数存在し、後願商標の登録は先登録商標の識別力を希釈すると主張して異議に反論した。これは分かりやすい議論だが、この議論はしばしば棚上げされる。EUIPOは、これらの商標が市場で平和的に共存することが証明されることを望んでいるが、それが証明されることは殆どないであろう。ここでも議論は脇に置かれた。