2017-08-21

中国:宗芳などによる偽造登録商標の商品販売に係る事件 - 林達劉グループ

一審審理の案件番号:(2015)上刑初字第1771号
合議体:覃波、王秀華、王魯
公訴機関:北京市海淀区人民検察院
被告:北京盈兆業方科技有限公司(以下「盈兆業方公司」という)
被告人:宗芳、呉海印、楊超

【概要】
盈兆業方公司の法定代表者である宗芳は、販売者として呉海印などを雇用し、思科系統(中国)網絡技術有限公司(以下「シスコシステムズ」という)のライセンスを得ずに、ローエンドの機種のシスコスイッチをグレードアップして得られるハイエンドのシスコスイッチ55台(そのうち、WS-C2960-24TC-L型のシスコスイッチ26台、WS-C2960-48TC-L型のシスコスイッチ29台)を、148,850元で楊超に販売した。しかし、調査によって、これらの販売されたスイッチがシスコシステムズの偽造登録商標の商品であることが明らかになったため、宗芳と呉海印は2014年10月14日、公安機関に逮捕された。公安機関は、盈兆業方公司の倉庫で、多機種のシスコスイッチ計112台を押収した。しかも、これらのスイッチは、すべてシスコシステムズの偽造登録商標の商品で、鑑定によって、その商品総額が計580,482元に達することが明らかになった。

楊超は2014年10月、盈兆業方公司から購入した前述のシスコスイッチ4台、及び光プリント基板24枚を239,100元の価額で販売し、無線コントローラーなどの設備も合わせて販売した。調査によって結果、これらの設備も、シスコシステムズの偽造登録商標の商品であることが明らかになった。楊超も2014年10月14日、公安機関に逮捕され、その場で2種類のシスコスイッチ9台が押収された。調査により、当該押収された9台のスイッチもシスコシステムズの偽造登録商標の商品であることが判明した。

裁判所は、審理を経て、①盈兆業方公司に対して、偽造登録商標の商品販売罪で罰金32万元の支払い②宗芳に対して、偽造登録商標の商品販売罪で、懲役3年、及び罰金8万元の支払い、③呉海印に対して、偽造登録商標の商品販売罪で、懲役3年、及び罰金7万元の支払い、④楊超に対して、偽造登録商標の商品販売罪で、懲役2年、及び罰金12万元の支払い、⑤押収された権利侵害製品、関連工具、及び違法製品などの法に基づく没収を命ずる判決を下した。

【コメント】
本事件は、同一の商標のローエンド製品を加工しパッケージを変え、ハイエンド製品にグレードアップさせ販売することに係る知的財産権刑事事件である。加工、パッケージの変更によって得られる「グレードアップ」電子製品は、その基本構造、重要部品、主要性能などにおいて実質的な変化が生じるため、再生製品とみなすべきであり、同一の商標を利用しパッケージすると、偽造登録商標の侵害商品とみなされる。押収された製品は、訴えられた犯罪金額に含まれないが、これらの物が違法製品であることを証明する証拠があれば、これらを違法製品であると判示することができる。したがって、本事件の判決から、知的財産権に関する刑事司法では、偽造登録商標の商品販売行為を厳しく取り締まっていることが分かり、今後同様の事件の処理の参考になるものと思われる。

日付:2017年4月20日
情報ソース:北京高等裁判所