2017-08-22

日本:商標政策を巡る最近の動向 - 特許庁

8月22日に開催される第3回産業構造審議会、知的財産分科会商標制度小委員会の配布資料が公開された。

それによると、平成28年の出願件数(国際商標登録出願を除く)は、14万8千件(前年比12.5%増)。出願1件当たりの平均区分数は2.81(前年2.36)であった。また、国際商標登録出願の件数は、1万4千件で、前年比13.4%の減となった。音や色彩といった新しいタイプの商標の登録が平成27年4月から開始され、平成29年7月末までの出願件数は1,555件。登録件数は294件となった。

主な増加要因は、飲食物の提供、システム開発、教育、娯楽、輸送、建設、金融、広告、小売などのサービス分野や、印刷物、乗り物、電子機器、加工機械などの商品分野の出願が増加しており、特に個人・中小企業による出願増が顕著で(出願全体の約62%)、裾野が拡がっている。また、商標に関する話題が新聞等に掲載される回数や、知財総合支援窓口における相談件数も増加しており、世間における商標に対する関心が高まっていることも要因に挙げている。

地域未来投資促進法が、平成29年7月31日に施行されたたことにより、商標法に係る以下の特例処置が講じられた。①地域団体商標に係る商標権の取得費用及び権利の更新費用の1/2軽減、② 一般社団法人を地域団体商標の登録主体に追加し、一般社団法人が組合等へ権利を譲渡できる仕組みを創設。

今後の商標法改正の課題には、①コンセント制度導入の是非と②マドリッド国際登録制度の利用促進の観点からの運用の改善(国際登録の分割等)を、審査マニュアルの整備では、①改訂商標審査基準に関する説明会及び意見交換を通じたユーザーへの周知と②歴史的・文化的・伝統的価値のある標章の取扱いについての検討を挙げている。

なお、平成27年度及び平成28年度は、商標を取り巻く状況や取引の実情に即した商標審査基準の全面的な改訂を行い、主な改訂事項として、①書籍等の題号(商標法第3条第1項第3号)、②標語・キャッチフレーズ(商標法第3条第1項第6号)、③国・地方公共団体の著名な標章と同一又は類似の商標(商標法第4条第1項第6号)、④先願に係る他人の登録商標について(商標法第4条第1項第11号)を挙げた。

配布資料は こちら (第3回 産業構造審議会 知的財産分科会商標制度小委員会)