2017-08-29

日本:地域ブランドの稼ぐ力、「地域の経済2017」より - 内閣府

 内閣府はこのほど、地域経済の動向をまとめた報告書「地域の経済2017‐地域の『稼ぐ力』を高める‐」を公表した。

それによると、2006年に導入された「地域団体商標制度」の2017 年5月末時点の登録査定件数は 621 件となっている。地域団体商標の品質確保は自主的なもので、制度的な担保がない点や商標権の侵害への対応は訴訟による自力救済が基本となっているのに対して、2015 年に施行された地理的表示法(GI法)に基づく地理的表示保護制度は、登録された生産者団体の構成員で、登録された品質基準等の特性を満たす産品を生産する生産者が、当該産品にのみ「地理的表示」を名称として使うことができ、不正表示の取り締まりは行政が行う。また、真正な地理的表示産品であることを証するため、地理的表示と併せて登録標章(GIマーク)を付すことを義務付けている。2017 年6月 23 日時点で38 産品が登録されている。

「地域ブランド」の生み出す付加価値分とは、たとえば、「地域ブランド」が確立している商品と他の商品の価格差のようなものである。そこで、価格に注目してブランドの付加価値を試算してみよう。まず、ブランドが確立したとみなせる「夕張メロン」と「それ以外のメロン」の卸値を比べる。2002 年から 2016 年のデータで比較をすると、夕張メロンは他のメロン比べ、1kg 当たり平均 173%(分布幅 141-240%)の高値で取引されている。ちなみに夕張メロンは、地域団体商標、地理的表示の両方に登録されている。

 

また、確立した「地域ブランド」には付加価値を生み出す力があるため、模造品販売で、不正な利益を得ようとする対象になることがある。例えば、不適切な掲示等で消費者庁が違反を認定した例等が相当する。こうした動きは、「地域ブランド」が注目されるがゆえに生じており、2008 年以降、「地域ブランド」に関連した裁判件数も増加している。ブランドは私的な財産であるため、裁判を通じて保護されるものではあるが、保護費用と損害にかんがみれば、一定の行政制度的な保護も必要である。

 

一方、海外における我が国の農林水産品への潜在需要額についてアジアの国々を例に試算すると、アジアの 10か国・地域全体への輸出額は 112.6%(年率 13.4%)の増加、額にして 0.6 兆円の増加が期待できるとなった。潜在需要は香港が実績と同様に最も大きいが、大きく伸びると期待されるのは、ベトナムであり、4倍強の増加が見込まれている。

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