時に、初めて会うのに、すでに出会ったことがあるような感覚になることがある。商標弁護士は、ロゴを見たとき同じような思いをすることがある。例えば、下図の「V」のように。青色と文字フォント、「V」はボルボ(VOLVO)の「V」に似ている気がする。
おそらく、ボルボがこの出願商標に対して異議を申立てた理由も同じような感覚からではないだろうか。ボルボには、サークル付きとサークル無しのロゴ商標が存在している。
ボルボは異議申立てにおいて、混同の虞があり、ボルボの評判を利用するものだと主張した。EUIPO(欧州連合知的財産庁)はその主張に懐疑的であった。EUIPOの判断は、出願商標は、ロゴの追加要素によって商標が異なるものと認識でき、またフォントは特殊なものではなく、ごく一般的なものであるため、似ているものの太さは少し異なっており同じものでない、というもので、商標が類似していないことから、評判に関する主張も棄却された。
EUIPOの論法は、通常の商標の場合には論理的である一方、ボルボのような有名な商標に適用すべきではない。このような商標は、如何なる違法な関連付けからも保護されるべきである。「V」ロゴを見れば、直ちにボルボとの関連付けを感じるであろう。おそらくボルボ愛好家だから感じるのかもしれないが、EUIPOは、(しばしば模倣されるような)著名な商標の所有者の利益を損なわないよう判断してほしい。
本文は こちら (VOLVO visually)