近年、ヨーロッパ、アメリカ、カナダで新しいクラフトビールのブランドがオープンし、醸造所が急増している。クラフトビール業界の会社は、独創的なビール名に誇りを持っているが、商標紛争が多く見られる業界でもある。NovagraafのTheo Visserは、Picaroonの「Dark and Stormy Night」に関する最近の問題を解説する。
カナダのニューブランズウィック州発祥の醸造会社Picaroonsは、2006年からダークビールを生産し、「Dark and Stormy Night」というブランド名で販売している。
最近Picaroonsは、1806年からブランド名「Black Seal Rum(ブラックシール・ラム)」や「Black Seal Rum」と「Stormy Gingerビール」のカクテル「Dark ‘n Stormy」を製造・販売しているバミューダ諸島にあるゴスリング・ラム(Goslings Rum)との間で争いになった。(写真参照)。
ゴスリング・ラムはPicaroonsの「Dark and Stormy Night」を見つけ、このブランドの使用を中止するよう要求した。CBCニュースによると、Picaroonsは両製品が全く異なるものだと主張し、同じ市場でアルコール飲料すべてが競合するわけではないと付け加えた。しかし、商標の世界では、ビールは、一般に、サイダー、ワイン、スピリッツなどの他のアルコール製品に類似するとされている。結局、Picaroonsは裁判所で争うことをやめ、ブランド名の使用中止を決めた。
商標権の取得
商標出願において、ブランド名を商標権者と出願人との間で、その類似性について争うことは、今やビール業界でも他の業界でも、ますます一般的になってきている。新しい標章を使用する前に、販売地域や指定する商品・役務区分で徹底的に商標検索を行わなければ、選択した標章が、すでに登録されている商標と類似したり、混同を生じさせたり、侵害行為に繋がる虞さえもある。もし先行する商標を持つ第三者が勝利すれば、Picaroonsが行ったように、改めて最初から新しいブランドを開発したり、既存の生産プロセスを停止したり、製品を廃棄することにもなりかねない。