2017-09-15

カナダ:商標法改正前、今やるべきこと - ボーダーズ商標セミナーより

先日、ボーダーズ国際特許事務所が主催する「カナダ商標法改正セミナー(カナダ商標法改正-概要と実務家が留意すべきポイント)」で、カナダ最大の特許・法律事務所スマート&ビガー /フェザーストンホー(Smart & Biggar/Fetherstonhaugh)の鈴木晃治パートナー弁護士がカナダの商標事情について解説した。

それによると、カナダ商標法の改正は2019年初頭に施行されるものと予測されており、カナダに登録商標を持つブランド・オーナーや出願を検討している出願人が知っておくべき改正ポイントについて以下の点を紹介した。

  • ニース分類の採用により、区分ごとの料金が設定される。2019年までに未公告の商標出願については公告前に区分指定が求められる。また、登録商標については更新時に区分指定が求められるものと思われる。現時点の案では、出願費用が1区分目330カナダドル、2区分目以降100カナダドル/区分、更新費用は1区分目が400カナダドル、2区分目以降125カナダドル/区分、登録費用は廃止される。
  • 新たに、ホログラム、動き、匂い、味覚、触覚、色彩の商標が登録対象となる。
  • 引き続き使用主義を採用するが、出願時の使用に関する情報は不要となり、登録のための使用宣誓書は不要になる。
  • 機能的商標と非顕著性に関する登録要件が新たに規定され、審査官が拒絶理由とすることができるようになる。改正後は、商標に生来的な識別力(顕著性)が認められない(簡単な商標の)場合、登録が拒絶される。
  • 商標権の存続期間が15年から10年になる。2019年以降に更新日を迎えるものは2019年以前に更新手続きを行っても存続期間は10年となる。
  • 分割出願が認められるようになる。
  • 第14 条(外国登録標章の登録)と連合商標が廃止される。
  • スクワッター対策として、登録官が職権で登録商標をランダムチェックし、使用証拠の提出を求め、不使用取消手続きを開始できるようになると予想される。

また、すぐにでも検討すべきこととして、鈴木弁護士は次のポイントを指摘した。

  • 「音商標」及び「色彩+形状」に関する商標出願は、2019年より前に出願審査が完了すれば、識別力に関する証拠提出は求められない。
  • 「記述的商標」及び「氏名」に関する商標出願では、2019年より前に出願審査が完了すれば、識別力立証のための基準が低い。
  • 多区分に亘る商標出願は早めに行う
  • カナダで使用されている重要な商標や他国、特に米国で成功している製品に関する、商標のうち、カナダ国内で未展開の商標、重要なブランドは早めに確認すべきである。使用証拠の提出がいらなくなることで、トロール、スクワッター対策が重要となる。

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