二審案件番号:(2016)京行終2985号
合議体:潘偉、陶鈞、樊雪
原告:上海専利商標事務所有限公司(以下「上専所」という)
被告:国家工商行政管理総局商標局(以下「商標局」という)
【概要】
上専所は、2014年8月28日に、第15244242号「上専及び図形」を第42類の「技術的事項に関する研究、技術的課題の研究、情報技術に関するコンサルティング、コンピュータソフトウェアに関するコンサルティング」などの指定役務において登録出願した。2014年9月12日に、商標局は「商標登録出願不受理通知書」を発行し、上専所の登録出願を受理しないと決定した。上専所は不服とし、行政訴訟を提起した。一審訴訟中、『商標法』第19条4項の理解と適用問題に関して、一審裁判所は中南財経政法大学知識産権研究センター、西南政法大学知識産権研究センター、華東政法大学知識産権法律と政策研究院、中国政法大学無形資産管理研究センター、北京務実知識産権発展センター、5つの機構の意見を求め、且つ関連フィードバックを受けた。
一審裁判所は以下のとおり認めている。『商標法』第19条4項は商標代理機構が「代理サービス」のみにて商標を登録出願することができると規定されるが「代理サービス」の解釈について、商標法上には明確に規定されていない。この問題に関する理解は、行政法規及び規則の関連規定に基づき考えるべきである。『商標法実施条例』第84条によれば、「商標法にいう商標代理には、委託者の委託を受け、委託者の名義で商標登録出願、商標審判又は他の商標業務を代行すること」。同条項の基礎に、『商標代理管理弁法』第6条1項には商標代理行為について更に規定されている。
「商標代理組織が委託者の委託を受け、商標代理人を指定して下記の代理業務を行うことができる。
(一)商標登録出願、変更、更新、譲渡、異議申立て、取消し、審判、侵害苦情通報などの関連事項の代理
(二)商標に関する法律コンサルティングサービスの提供、商標に係わる法律顧問の担当
(三)商標に関連するその他の業務の代理」
上述の規定に基づき、商標代理機構は上述の業務内容のみにおいて自分の名義で商標を登録出願することができる。
本事件商標の指定役務が第42類の「技術的事項に関する研究、技術的課題の研究」などであり、明らかに商標代理サービスに属さない。よって、本事件商標は『商標法』第19条4項に規定される登録できない状況に該当する。上記をまとめ、一審裁判所は上専所の訴訟請求を棄却した。二審裁判所は、以下のとおり認めている。本事件商標の指定役務が第42類の「技術的事項に関する研究、技術的課題の研究」などであり、『商標法』第19条4項に規定される「代理サービス」に属さない。よって、本事件商標の登録出願を拒絶したという商標局及び一審裁判所の認定は、不当なところがないため、上専所の上訴を棄却して、原判決を維持する。
【コメント】
本事件は2013年に改正された『商標法』第19条4項の理解と適用にかかわる。2003年より商標代理機構の設立及び商標代理人の資格に関する行政決裁が廃止された後、商標代理活動において混乱現象が現れ、商標の市場秩序も乱された。この問題を解決するために、2013年改正された『商標法』には、第19条4項の規定が追加され、商標代理機構より登録出願できる商標の区分が「代理サービス」のみに限定された。しかし、実践上、「代理サービス」の拡大解釈の可否について、係争が残されている。本事件にては、法律規定の理解について、一般的にその文字の通常意味に基づくべきであるが、文字の解釈の結論は、法律規定の無駄になり、或いは法律システムの各条項の間で重大な抵触を生じさせるなどの重大な特定状況は例外である。同時に、商標代理活動における混乱現象及び商標市場秩序の混乱を明確に解決するために、『商標法』に追加された商標代理機構の行為規範に関する内容を厳格的に執行すべきである。また、随意に「商標代理」に対して拡大な解釈をして、当該条項の立法目的を達成できないことはしない。当該案件は、今後類似案件の審理及び法律規定の解釈方法の適用について模範的な裁判と見なされる。