平成31年3月1日に閣議決定された「特許法等の一部を改正する法律案」が、令和元年5月10日に可決・成立した。この法律は、令和元年5月17日に公布され、改正商標法第31条第1項の規定については、令和元年5月27日に施行される。
本改正により、国、地方公共団体又は大学といった公益団体等を表示する著名な商標(以下、「公益著名商標」という)に係る商標権について、通常使用権の許諾が可能となる。
現行の商標法では、公益著名商標は、当該公益団体等自身が出願するときに限って商標登録を受けることができるが(商標法第4条第1項第6号及び第2項)、公益著名商標に係る商標権については、通常使用権の許諾は認められていなかった(同法第31条第1項ただし書)。しかしながら近年、地域のブランディングや自身の広報活動の一環として、地方公共団体や大学等が関連グッズを販売することや、研究機関が開発に携わった商品を企業が販売するケースが増え、特に大学において、自主財源の確保、産学連携から生じた研究成果の周知及び大学のブランド・知名度の向上等を目的に、公益著名商標に係る商標権の通常使用権を事業者に許諾し、ブランド展開を積極的に行いたいとのニーズが高まっていた。
本改正は、公益著名商標に係る商標権について、通常使用権の許諾を制限していた商標法第31条第1項ただし書を削除するもので、今回の改正により、公益著名商標に係る商標権について、通常使用権の許諾が可能となることで、公益団体等による登録商標の活用の幅が広がることが期待される。
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