日本国特許庁、米国特許商標庁、欧州連合知的財産庁、中国国家知識産権局、韓国特許庁による「商標五庁(TM5)」は、12月9日から12月11日にかけて、千葉県浦安市舞浜において、第8回TM5会合を開催した。公表から約2年半を経て事例を大幅に拡充した「悪意の商標出願事例集」の作成のほか、世界的な出願増加を受け、商標審査のITシステムの高度化・効率化のための議論を拡充することなどに合意した。
会合の主な成果は以下のとおり;
(1)「悪意の商標出願事例集」の大幅拡充と今後の議論
有名ブランドなどの商標が無関係な第三者により無断で商標出願・登録される、いわゆる「悪意の商標出願」の問題は引き続き世界各国での重要な関心事項であり、今回の会合では、2017年に公表した「悪意の商標出願事例集」の50事例に加え、TM5各庁5件ずつの25事例と、国際商標協会(INTA)との協力で収集したTM5以外の40の国・地域の93事例の合計118事例を新たに追加した、拡充版「悪意の商標出願事例集」を作成した。
また今後、悪意の商標出願対策として有効なTM5各庁の制度・取組などを“マンガ”で分かりやすく紹介し、ユーザーへの普及啓発を一層推進していくことについて合意した。
※ 拡充版「悪意の商標出願事例集」(英語のみ)は こちら
(2)世界的な出願増加への対応
現在、JPOを含め各国・地域の知財庁は世界的な商標の出願増加という課題に直面しており、TM5各庁は審査の効率化と品質管理は重要な課題と認識している。今会合では、図形商標検索のためのイメージサーチ・ツールに加え、審査の効率化につながり得る、あらゆる商標審査のITシステムについても、高度化・効率化の方策について議論し情報交換をすることに合意した。
また、品質管理の分野については、JPOがリードしてきた「品質管理プロジェクト」の成果を共有すべく、TM5各庁の実務者による品質管理専門家会合を開催したほか、TM5各庁のユーザーを交えたユーザーセッションを開催し、ユーザーと共に品質管理の取組や課題について議論を交わした。
2020年のTM5会合は、USPTOがホスト庁となることについて合意した。2020年4月にシンガポールで予定されているINTA総会では、TM5の中間会合に合わせて、TM5とINTAがコラボレーションしたワークショップも行うことを予定している。
プレスリリースは こちら