世界各国での新型コロナウイルスの感染拡大により、直接署名による委任状準備及び対面での公証が難しい状況の中、韓国特許庁は2020年6月18日付で「在外者の署名が必要な委任状及び公証書の提出便宜向上のための業務処理基準」を発表した。この発表によると、在外者による電子署名付き委任状と譲渡証等の電子(遠隔)公証書が許容される。
今回の措置に関しては、当所でも、電子公証及び電子署名された委任状の導入を特許庁に継続して求め、これを特許庁の担当部署では事案に応じて認めてきていた。これが今回、特許庁が具体的な業務処理基準を発表することをもって、公式的に導入されることとなったといえる。
発表された業務処理基準によると、①一般的な署名形態を備えた電子署名付きの委任状及び電子公証書の場合は、委任者の署名として委任者が電子的に署名した委任状や公証人の署名として公証人が電子的に署名した公証書のファイルまたはその出力物であることを代理人が委任状および公証書の翻訳文にて確認(陳述)した場合に、証明書類として認める。②一般的な署名形態ではなく文字・記号(デジタル記号)などからなる委任状および電子公証書の場合は、代理人の疎明(陳述)内容と共に電子文書ファイル内の有効署名であることを示す属性情報(署名者認証)などをコピー(キャプチャ)して翻訳文に追加した場合に証明書類として認め、翻訳文に添付された署名属性情報などが不確実である場合には、補正を要求するか返戻する。 なお、本業務処理基準は、新型コロナウイルスという特殊な状況に鑑みて時限的に許容される予定であり、既に委任状・公証書が受け付けられて補正(疎明)中である件についても適用される。一方、今回の措置は、委任状などが一つの一体化された書類として電子署名された場合に受理する趣旨であるため、プログラムなどを使ってイメージなどを単純合成し、一体化された書類と認められない場合には、認められない。