韓国では侵害行為による損害賠償について法院が最大3倍まで賠償金額を増額して決定することができる制度など、様々な改正事項を織り込んだ改正商標法及びデザイン保護法が2020年10月20日から施行されている。
3倍賠償制度の施行
3倍賠償制度はすでに2019年7月9日に改正特許法と不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(以下「不正競争防止法」)の営業秘密侵害行為に導入され施行されているが、今回商標法とデザイン保護法、そして不正競争防止法の「アイディア侵害禁止規定」においても同旨の規定が導入され、商標法及びデザイン保護法は2020年10月20日の公布とともに施行された。不正競争防止法のアイディア侵害に関する3倍賠償制度は6ヶ月後の2021年4月21日に施行される予定である。
特許法、商標法、デザイン保護法及び不正競争防止法(営業秘密侵害行為とアイディア侵害行為禁止)における3倍賠償制度に関する規定はほぼ同一で、賠償金額の算定時に考慮しなければならない8項目について次のとおり規定している。
1. 侵害行為をした者の優越的地位の有無
[この項目と関連し、商標法のみ「侵害行為により該当商標の識別力または名声が損傷された程度」のように異なって規定している]
2. 故意又は損害発生のおそれを認識した程度
3. 侵害行為により特許権者及び専用実施権者が受けた被害の規模
4. 侵害行為により侵害した者が得た経済的利益
5. 侵害行為の期間・回数など
6. 侵害行為による罰金
7. 侵害行為をした者の財産の状態
8. 侵害行為をした者の被害救済努力の程度
法定損害賠償金の増額など
併せて、商標法とデザイン保護法では次のような追加の改正規定も2020年10月20日から施行されている。
1. 法定損害賠償金を5千万ウォンから1億ウォンに引き上げ
2. 故意の侵害の場合における法定損害賠償金を3億ウォンに引き上げ
3. 使用料相当額の基準を「通常」受け取ることができる金額から「合理的」水準に変更
特許権侵害罪の非親告罪化
さらに特許権侵害罪についてはこれまで親告罪であったものが、今後は権利者が処罰を望まないと明確に意思表示しない限り処罰が可能な「反意思不罰罪」に変更され、同規定も2020年10月20日から施行されている。