2021-06-16

英国のEU離脱による商標への影響について - JPO

日本国特許庁は、英国知的財産庁(UKIPO)が公表した英国のEU離脱(ブレグジット)後の知的財産法の変更に関する特許・商標・意匠への影響について纏めたものを公表した。

英国の知的財産法に関する主な変更で商標への影響は以下のとおり;
 移行期間の終了日(2020年12月31日)よりも後、登録済みのEU商標、及びEUを指定して保護された商標の国際登録の効果は、英国においては有効ではなくなるが、同等の英国商標がUKIPOにより付与される。また、移行期間の終了日までに登録されていないEU商標及びEUを指定した商標の国際登録について、出願人は、2021年1月1日の後9か月以内に同等の英国商標を登録するために出願でき、係属中のEU商標出願又はEUを指定した国際登録出願の先の出願日を維持する。この場合、通常の英国の料金体系が適用される。(離脱協定第54、56、59条)

商標の確認方法
 英国における商標及び意匠登録の詳細は、英国政府HPのSearch for a trade markで確認することができる。
登録済みのEU商標又はEUを指定して保護された商標の国際登録に対して、対応する権利が、それぞれ、UKIPOにより以下の方法で新しい番号が付与され、英国において再登録されている。

*登録済みのEU商標に対応する同等の英国商標
 既存のEU商標番号の下8桁の先頭に「UK009」を付した番号
*EUを指定して保護された商標の国際登録に対応する同等の英国商標
 EUを指定した既存の国際登録番号の先頭に「UK008」を付した番号

代理人の使用及び代理するための住所要件
 2021年1月1日以降、英国の代理人は、欧州連合知的財産庁(EUIPO)での新しい出願又は新しい手続について依頼人を代理することができなくなる。英国の所有権者は、EUIPOに対する新しい出願及び手続について本人を代理させるためには欧州経済領域(EEA)の代理人を選任する必要がある。
ただし、離脱協定は、移行期間の終了時に継続している場合(手続)については、英国の代理人が引き続きEUIPOに対して依頼人を代理できることを保障している(離脱協定第97条)。
 移行期間の終了後、UKIPOは、EUIPOの職業代理人の名簿に追加される代理人の認定を提供しなくなる。EUIPOは、英国の認定に基づいて代理人を名簿に追加しなくなる。

英国の送達宛先(UK Address for Service (AfS))
 2021年1月1日から、英国、ジブラルタル又は及びチャンネル諸島の送達宛先のみが、UKIPOに対する新たな出願及び係争手続を開始するための新たな請求に関して、認められることになる。
当該変更は、全ての登録知的財産権(特許、商標及び意匠)に適用される。

知的財産権の消尽
 移行期間後に権利者によって又は権利者の許可を得て英国市場に置かれた商品の知的財産権は、EEAでは消尽したと認められない可能性があり、知的財産権で保護された商品を英国からEEAに並行輸出する企業は権利者の同意を必要とする可能性がある。
 移行期間後に権利者によって又は権利者の許可を得てEEA市場に置かれた商品の知的財産権は、英国では引き続き消尽したと認められることになり、EEAから英国への並行輸入は影響を受けないことになる。

特許・意匠への影響は こちら (JPOサイト:英国のEU離脱(ブレグジット)による特許・商標・意匠等への影響)