2021年10月12日、特許庁は、商標登録出願について、却下処分の迅速化の必要性が高いことを踏まえ、却下処分前に「手続補正書の提出がない旨」及び「出願を維持する場合には速やかに手続補正書を提出する必要がある旨」を出願人又は代理人に知らせる確認通知を廃止すると発表した。手続補正指令書の発送日が令和4年1月11日以降の商標登録出願が対象となる。
確認通知の廃止に伴い、商標登録出願に対する手続補正指令書を受領した出願人又は代理人は、手続補正指令書において指定された期間内に手続補正書を提出しないと却下処分を受けることとなることに留意する必要がある。
これまで、特許庁は、手数料が支払われない等、手続上の瑕疵のある商標登録出願には、手続の補正をすべきことを命ずる手続補正指令書を送付し、当該指令書において指定された期間内に手続補正書の提出が確認できない場合は、商標法に基づき却下処分を行うが、却下処分の前に確認通知を(法令に基づかない)行政サービスとして送付し、その送付後一定期間の経過を待ってから却下処分を行っていた。
廃止理由は以下のとおり;
* 商標は、特許、実用新案及び意匠と異なり、新規性・進歩性(創作非容易性)といった登録要件はなく、後願が先願と抵触するとしても、先願が却下又は取下げとなった場合、先願の存在やその公開を理由として拒絶されない。他方で、先願の却下処分確定まで後願の最終処分ができないところ、後願の権利化までの期間を短縮するため、商標登録出願の却下処分の迅速化の必要性が高いこと。
* 商標登録出願は、出願があったときは速やかに出願公開(商標法第12条の2)されるため、他人が出願している商標を使用している第三者は、出願公開を踏まえ、自己の商標登録出願や商標の使用を断念することがあり得るが、出願公開された出願が却下処分になる場合、出願や使用を断念する必要がないことから、その見極めを早期に可能とするためにも、商標登録出願の却下処分の迅速化の必要性が高いこと。
* 商標登録出願は、新規性・進歩性(創作非容易性)といった登録要件がないことから、却下されても先の出願の公開の有無を問わず、再度同じ内容の出願が可能であること。
本文は こちら (手続上の瑕疵のある商標登録出願に対する手続補正指令書に応答がない場合に行う却下処分前の確認通知(行政サービス通知)の廃止のお知らせ)