韓国では拒絶決定不服審判の請求期間を現行の30日から3カ月に延長する法案が2021年9月29日に国会で議決され、本日公布された。改正法は公布後6カ月である2022年4月20日から施行される。
このような改正は出願人の錯誤を積極的に救済し権利獲得の機会を最大限保障するためであり、拒絶決定不服審判の請求期間の延長の他にも期間経過による権利消滅時の権利回復要件を緩和するなどの内容を含んでいる。具体的な内容は下記のとおり。
商標法およびデザイン保護法共通の改正事項
1.拒絶決定不服審判の請求期間延長
拒絶決定(デザインの場合、取消決定を含む)に対する審判請求期間を30日から3カ月に延長
➔十分な準備期間の提供および不必要な期間延長の最小化
2.出願人の権利回復要件の緩和
書類提出、手数料納付などの期間の経過によって権利が消滅した場合、権利回復要件として求められる「責めに帰することができない事由」を「正当な事由」に緩和
➔特許庁によれば持病による入院、手数料自動振込のエラー、特許顧客相談センターの誤案内なども正当な事由と認定
3.分割出願の優先権主張自動認定
原出願に優先権主張があれば、原出願に関する分割出願時にも自動で優先権を認定
4.登録決定後の職権再審査可能
登録決定後に審査官が明らかな瑕疵を発見した場合、職権で再審査が可能に(現行特許法と同一)
➔無効事由がある不良権利の発生を事前に遮断
5.権利移転にともなう共有者の保護
競売などによって他人との共有である商標権/デザイン権が移転されても、商標権/デザイン権者が共有物の分割請求前に当該商標を使用しまたはデザインを実施している場合には、その共有者に通常使用権/実施権を付与し継続中の事業を保護
デザイン保護法だけの改正事項
1.再審査請求期間および再審査請求に基づく補正時期の延長
再審査請求期間について審判請求期間を30日から3カ月に延長し、再審査請求に基づくデザイン登録出願の補正時期を再審査請求時から再審査請求期間に拡大
2.法人清算にともなうデザイン権消滅時点の明文化
清算手続が進行中である法人のデザイン権は、法人の清算終結登記日までにそのデザイン権の移転登録をしない場合には、清算終結登記日の翌日に消滅することとする(現行特許法および商標法と同一)
➔特許法および商標法では明文化されていたもののデザイン保護法にはなかった規定で、当該条項の新設を通して特許法および商標法との均衡を図る
商標法だけの改正事項
1.質権による権利移転にともなう商標権者の保護
競売等によって他人に商標権または共有である商標権が移転されても、その商標権者が質権設定前に指定商品と関連し当該登録商標を使用している場合には、通常使用権を付与(現行特許法およびデザイン保護法と同一)
➔特許法およびデザイン保護法では明文化されていたものの商標法にはなかった規定で、当該条項の新設を通して特許法および商標法との均衡を図る
これらの改正事項のうち、特に拒絶決定不服審判の請求期限を従来の30日から3カ月に延長して期間延長の負担を軽減し出願の権利回復要件を緩和した点、および分割出願の優先権を自動的に認めるなどの制度改善は、手続の簡素化と出願人の便宜向上に大きく寄与するものと期待される。
2021-10-19