商標弁護士は、商標の使用可能性を調査し、最適な出願戦略を助言することで顧客の商標を保護する商標法の専門家だ。コンサルタントとして商標弁護士は、時には顧客を制止しなければならないこともある。例えば、根拠がないにもかかわらず何にでも手を出したがる企業や、侵害が明らかであるにもかかわらず商標を出願しようとする企業がいれば、商標出願に対して出願を思いとどまるように助言をすることは、商標弁護士として当然のことであり、そんなときに助言ができなければ、何のためのコンサルタントか分からない。
しかし、「Pumn」のロゴに関するケースでは、そのような助言はなかったのかもしれない。ロゴは見ればプーマ(Puma)のロゴのコピーであることが直ぐにわかる。にもかかわらず、このEU出願はイタリアの商標弁護士を通じて中国企業によって行われた。
中国では最近規制が厳しくなり、悪意の商標出願への対応が容易になったとはいえ、このようなことは日常茶飯事なのだ。近年、中国企業がEUでも商標を登録することが多くなっており、残念なことに、模倣品製造への情熱までもが持ち込まれることもある。今回の場合、プーマの必然的な勝利となったのだが、出願した中国企業は、お金と労力の両方を節約できたはずだ。もちろん、イタリアの商標弁護士の助言が押し切られた可能性もあるにはある。しかし、これほど明白なケースでは、商標弁護士が顧客にちゃんと「No」と言った方が良かったのは明らかだ。
EUIPOの決定は こちら