商標登録までの道のりには、さまざまな障害が待ち受けている。まず、商標は第三者から異議申立てをされないように、登録可能なものでなければならない。しかし、登録されてもまだ安心はできない。稀なことかもしれないが、登録の数年後に、第三者から先行する登録商標を理由に無効の請求をされる可能性もある。その頃にはすでに数年間その商標を使用していたりすると、非常に迷惑な話になる。そのため、商標の登録及び使用可能性について十分に調査することを強く勧めたい。
また、商標が使用されていないことを理由に取消請求されることもある。使用義務のある商標の所有者は、過去5年間にその商標が使用されていたことを証明する証拠を提出する必要があり、多数の商品・サービスを指定して登録していると、これらの商品・サービスごとに使用を立証しなければならないので、作業は大変だ。
Airbnb(エアビーアンドビー)もこのことをよく理解していた。EU商標「Airbnb」が使用されていないという理由で、取消請求が提起された。「Airbnb」は世界的に有名なので、これは簡単に解決できる事件だと思うかもしれない。Airbnbもそう考えたが、EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、「Airbnb」が有名であることを立証するだけでは、使用証拠を提出する必要性を排除できないと判断した。
そこでAirbnbは、山ほどのアイテムや請求書、Googleアナリティクス・レポートなどを含む多数の使用証拠を提出した。EUIPOは、すべての証拠を検討し、「Airbnb」商標の指定サービスと比較した。そしてEUIPOの決定は、Airbnbにとってショッキングなものとなった。EUIPOは、指定サービスの多くについて使用証拠がないと結論付けた。結局、レビューを投稿するサイト、オンラインデータベース、予約サービスなど、非常に多くのサービスについて商標権が取消されることになったのだ。2区分に分類される宿泊施設の提供に関係するサービスについては引き続き商標権が維持されたが、それ以外の6区分については商標権が取消された。
本文は こちら (Airbnb loses a major part of its European trademark rights)