カナダのケベック州政府は、商業分野におけるフランス語の使用を促進する目的で、2022年5月24日、「ケベックの公用語・共通語のフランス語を尊重する法律」を採択した。Volha Parfenchykが新法について解説する。
ケベック州議会は、州内の公用語をフランス語のみとするフランス語憲章を修正し、ケベック州で定めた外国語商標の使用を制限する新たな法案「ケベックの公用語・共通語のフランス語を尊重する法律」が2022年6月1日に発効された。
この新法の発効により、ケベック州における商標の使用、特に外国語要素の使用に大きな変化が生じることになる。
ケベック州における新法以前の外国語商標
新法以前、カナダ国内の製品パッケージ、広告、公共標識に表示される外国語(と認められる)商標は、フランス語に翻訳する必要はないという例外規定が適応され、登録商標とコモンロー(未登録)商標を含む商標はこの例外に含まれていた。コモンロー商標は、取引の過程で使用されることによって発生する事実上の権利であり、カナダで法的保護を受けるために商標を登録する必要はなく、したがって、そのような商標の所有者は、英語などの外国語商標にフランス語訳を添える必要はなかった。
注目すべきは、商標のフランス語版がすでに利用可能であった場合、この規則は適用されないということである。
もし、商標のフランス語版がすでに登録され、カナダの商標登録簿に記録されている場合、フランス語訳が優先され、外国語版の代わりに商業で使用されなければならない。
新法で何が変わるのか?
新法では、ケベック州における外国語商標の使用範囲を大幅に制限している。まず、フランス語に翻訳する義務を免除される商標の種類に関するもので、例外に当てはまるために、コモンロー商標の所有者はその商標を登録しなければならない。登録しない場合、商標をフランス語に翻訳し、翻訳したフランス語を商標として使用しなければならない。
次に、商標における一般的な用語の使用に関するものだ。新法は、一般的な用語や記述的な要素が商品商標の一部を構成する場合、この用語をフランス語に翻訳し、製品の包装や製品に付するラベルにも表示しなければならないと定めている。新法は、商標権者が新しい規則を遵守するための3年間の猶予期間を導入した。
商標権者のための次のステップ
したがって、商標権者は、新法による認められる商標の例外を享受したいのであれば、カナダでの商標登録を検討する必要がある。カナダでの商標登録には数年かかる可能性があるため、今すぐ商標出願の準備をすることを勧めたい。
フランス語の商標がすでにカナダ国内の商品について登録されている場合、これらの商標は例外に含まれないため、商標権者はそれらのフランス語の商標がすでに商品パッケージ、公共標識、広告に使用されていることを確認する必要がある。
本文は こちら (Non-French trademarks in Quebec: Restricting the use of foreign-language trademarks in Canada)