2022-07-24

米国:ヘイリー・ビーバーのブランド「Rhode」が商標権侵害に - Novagraaf

モデルで社交界の有名人、ヘイリー・ビーバーは、有名になることで得られるブランド力とビジネス機会を最大限に活用するために商標を登録しようとした数多くの有名人の一人だ。しかし、商標登録を確保するのに名声だけでは十分ではない。Yordi van Weeldenが解説する。

ヘイリー・ビーバーは、自身のブランドに利用するためにミドルネームの「Rhode」を商標として登録することを選択した。しかし、以前のカイリー・ジェンナー(Kylie 対 Kylie)のように、名声だけでは商標の保護を確保するのに十分でないことが分かったはずだ。ニューヨークの高級ファッションブランド「Rhode NYC」は、ヘイリー・ビーバーのスキンケアブランド「rhode」に対し、先行する登録商標を根拠に米国で訴訟を提起した。 

商標:先願主義

2014年の立ち上げ以来、RHODE-NYCはそれなりにメディアの注目を浴びてきた。複数のファッション誌に掲載され、ビヨンセやルピタ・ニョンゴ、トレイシー・エリス・ロスなどのセレブが着用し、現在では高級百貨店を含む数百のショップでも販売されている。2017年3月に被服(25類)を指定して米国特許商標庁(USPTO)に商標「RHODE(写真左)」を出願し、その後、2020年12月31日に子供服、男性服、水着の商品を保護するために商標出願した。

ヘイリー・ビーバーは2018年、先行する「RHODE」商標をRHODE-NYCから買い取ろうとしたが、その試みは失敗した。にもかかわらず、ヘイリー・ビーバーは自身のインスタグラム・アカウント(フォロワー数4590万人)でスキンケアラインの宣伝にこの名前を使い続け、2020年12月30日にUSPTOにスキンケア製品及び化粧品を指定して「rhode」商標(写真右)を出願し、その後、2022年5月に被服を指定して商標を出願した。

同一または類似する商標への対策
商標権者は、登録商標を根拠に類似する商品・サービスを指定する(後からの)類似商標を使用することに対して異議を唱えることができる。例えば、その使用が公衆の間で混同を引き起こす虞がある場合である。米国商標法はEUの商標法と異なるが、このケースでは、類似の標章と類似の商品であることは明らかである。また、実際に消費者の間で混同が起きている。例えば、インスタグラムでRHODE-NYCの服の写真に「RHODE」がタグ付けされており、ヘイリー・ビーバーの「rhode」の顧客はRHODE-NYCのカスタマーサービスに問い合わせをしている。RHODE-NYCは、蓄積されたグッドウィルと大きな売上高にもかかわらず、ヘイリー・ビーバーが持つ多くのフォロワーによって、「rhode」の影に隠れてしまうと考えた。

インスタグラム・アカウントをめぐる攻防
現在までのところ、RHODE-NYCは@rhodeのインスタグラム・アカウントを奪取することには成功していない。しかし、先行するファッションブランド「RHODE-NYC」の商標権や、インスタグラムが知的財産権の保護をルール化していることから、近いうちに実現するものと予想されている。また、この訴訟はRHODE-NYCに有利な判決が下され(つまり、ヘイリー・ビーバーの商標が先行する「RHODE」ブランドを侵害していると認められる)、ヘイリー・ビーバーは、スキンケアラインに適した別のブランドを探さなければならなくなることも概ね想定される。

本文は こちら (Hailey Bieber faces opposition to Rhode trademark in the US)