2022-08-26

ライセンス供与は慎重に! - Knijff Trademark Attorneys

 クィディッチ(Quidditch)は、英国の作家J・K・ローリングによって著されたシリーズ小説「ハリー・ポッター」で出てくる架空のスポーツとしてだけではなく、「現実」の世界でも行われている実在のスポーツであることをご存じだろうか。J.K.ローリングなどとの論争により、国際クィディッチ協会(IQA)は最近、このスポーツを今後クアッドボール(quadball)と呼ぶことにすると発表した。

 この名称変更は、IQAがハリー・ポッターの全権利を所有するワーナー・ブラザーズに依存しなくなることも意味している(「Quidditch」は登録商標)。IAQは間違いなくワーナー・ブラザーズにライセンス料を支払い、使用条件に従わなければならなかったからだ。

 商標のライセンス供与(例えば、商品のマーチャンダイジング)は、非常に有効な収益モデルになるかもしれないが、全くリスクがないわけではない。マーチャンダイジングは、通常、本、映画、ゲーム、音楽などをベースにしている。本、映画、ゲームでは、登場人物(通常は主人公、脇役、悪役など)が冒険などを繰り広げるもので、環境、設定、ストーリーが非常に重要であり、優れたライセンスマネージャは、ストーリーとコンセプトが合致する場合にのみライセンスが供与する。結局のところ、映画、本、ゲームのファン体験がすべてなのだ。マーチャンダイジングは、この体験を強化し、向上させるものでなければならない。しかし、これは微妙なバランスで成り立っており、短期間で稼ごうとするあまり、何のポリシーもなく商標を使用許諾すると、ファンは本や映画とは全く関係のない、手間暇かけて作った物語の価値を損なう品質の悪い商品に商標が反映されるのを見ることになる、という危険性がある。

 もしあなたがワーナー・ブラザーズの立場だったら、おそらくライセンス供与を考え直したことだろう。大人がピッチを走り回るという連想は、J.K.ローリングの小説に描かれたスポーツとはかけ離れた世界で、物語の魔法は何も残っていないからだ。
ライセンスは儲かる収入源かもしれないが、ライセンスする前に熟慮が必要だ。

本文は こちら (Better quadball than quidditch)