新しいビジネス、製品、サービスの立ち上げを急ぐあまり、企業はブランディングの重要なステップである商標の保護について検討しないケースもあるようだ。Laura Morrishがブランド構築の初期段階から商標登録のプロセスを開始すべき8つの理由を説明する。
商標を出願する適切なタイミングを選ぶことは、ブランドオーナーにとって難しいことだ。商標登録が早すぎると商標の使用要件に抵触するリスクがあり、遅すぎると貴重なブランド資産を第三者による不正使用のリスクにさらされてしまう。しかし、商標登録出願を遅らせることを選択したとしても、商標保護の検討を遅らせてもよいわけではない。
企業のクリエイターがブランド名やロゴのアイデアを思いついたら、すぐに商標のクリアランス調査を行い、その商標が付される商品・サービスに関して使用・登録可能かどうかを確認する必要がある。これにより、選択した商標が第三者から攻撃を受けるリスクを明確に示すことができる。また、この早い段階で、関連するブランド要素(ロゴ、パッケージ、スローガンなど)に対する商標や意匠の保護も検討すべきだろう。
商標保護のために早めに商標登録を行うべき8つの理由
戦略にもよるが、製品または事業の立ち上げの準備を始めたら、すぐに商標登録出願を行う必要がある。ここではその8つの理由を説明する。
1. 模倣品対策が容易になる
商標登録は、未登録の商標や著作権などの他の権利に頼るよりもはるかに強力な武器として第三者に対する権利行使力を持つ。これは、保護開始時期が明確であり保護範囲が明細書に記載されているからだ。
2. リスクを最小限に抑えることができる
商標のクリアランス調査をして、選択した商標を使用し登録すればリスクは低いと思うだろうが、出願は継続的に行われているため、状況はすぐに変化する。調査から出願までの間に、第三者が同一または類似する商品・サービスに対して同一または類似する商標を先に出願し、選択した商標の使用や登録が阻害されるリスクがある。
3. コスト削減が可能
商標登録は、第三者から異議申立をされ不成立になることもある。異議申立が成功すると、リブランディングを余儀なくされることもある。商品・サービスを市場に出す準備の初期段階であれば、リブランディングにかかる費用は、商品・サービスを市場に出す直前まで進んでいる場合よりも、かなり少額で済むだろう。また、商標を使用する前にこれらの問題が明らかになれば、権利侵害のリスクも軽減される。
4. ビジネスへの付加価値
商標権のような無形資産は、ビジネスの評価において考慮される。事業の譲渡、事業からの撤退、融資などを計画している場合、事業や製品の存続期間中に正しく商標登録が行われていれば、優れたデューデリジェンスの証となる。
5. 侵害商品の削除要求が容易になる
商標を登録することで、オンラインマーケットプレイスやFacebook、Instagramなどのソーシャルメディアサイトにおける侵害行為から、より強力に保護されるようになる。オンラインプラットフォームでは、登録商標は「侵害商品の削除要求」を要求する根拠となり、Amazon Brand Registryに登録するための条件にもなっている。
6. 国際的な展開を可能にする
一度、自分の国や地域に出願すれば、その後、他の管轄区域で同じ商標を出願した場合、同じ保護期間の恩恵を受けることができる。例えば、英国では、出願人は6ヶ月間の「優先期間」の利益を受け、この期間内に外国に出願すれば、同じ英国の出願日から保護の恩恵を受けることができる。
7. 後発の出願人に対する優先権が得られる
商品やサービスを市場に出す前に商標出願をすることで、第三者が同一または類似の商標を先取りして出願するリスクを最小限に抑えることができる。このような出願はブランド使用に優先権を与えるもので、将来の成功に第三者が便乗したり、第三者による国内外の商標使用や登録に対する抑止になるだろう。
8. 他者による商標登録を阻止できる
一方、商品やサービスを展開して一夜にして成功したものの、まだ商標権の保護を受けていない場合、第三者に先に商標登録されてしまい、法的には取り返しがつかなくなるリスクがある。その結果、商標の権利を第三者から購入しなければならず、高額な費用を支払わなければならなくなったり、ブランドの再構築を余儀なくされたりするリスクが生じることがある。
商標登録は、オンライン上のブランド保護に役立つ
デジタル時代において、製品はかつてないほどの速さで世界中の消費者に届けられている。このことは、ブランドの価値を高めるだけでなく、模倣業者や商標権の「不法占拠者」という形で、企業にとって潜在的な脅威となりえる。このような脅威を考慮すると、ブランド構築のできるだけ早い段階で、商標が使用される製品やサービスを市場に出す前に、正しい商標保護を行うことがより一層重要になっている。
本文は こちら (Trademark protection: Eight reasons why you should start early)