車の世界において、「Bulli(ブリー)」の象徴的なステータスに疑いの余地はない。このフォルクスワーゲンのバンは、締切や雑用などをすべて忘れて広い世界を発見するために地平線へ向かうという自由の不朽のシンボルなのである。フォルクスワーゲンは、今も現代版「Bulli」を販売している。つまり、「Bulli」は現在でもよく使われている有名な名称であり、だからこそ、商標として保護する意味があるのだ。
「Bulli」はスペイン語で「いじめっ子」を意味するので、あまり気持ちのいいものではないが、他の言語では何の意味も持たない。しかし、この商標は「Bull(雄牛)」という文字を含んでおり、その文字やその派生語は商標として非常に人気がある。これは実務において、そのような商標の保有者は日頃から商標を守らなければならないことを意味している。
最近「BULLITE」が12類(乗物等)に商標出願されたとき、フォルクスワーゲンは行動を起こす必要に迫られた。フォルクスワーゲンは、消費者が「BULLITE」を「BULLI」に標準的な(つまり説明的な)略語TE(Thermal Extension)を加えたものとして見るだろう、というかなり驚くべき主張を展開した。この論法から「BULLI」は有名な商標であることで外観的な類似性が広くなるとの主張だが、当然ながら、消費者は一般的に商標を全体として認識するためこの主張にはいささか無理があるとの見解を欧州商標局は示した。
しかしながら、このような主張は別にしても、外観も称呼も類似性が高いとして、欧州商標局はフォルクスワーゲンの異議申立てを認めた。