2022-11-17

EU:トラヴィス・スコットが商標登録するのを怠ったために起こったこと - Knijff Trademark Attorneys

 人は誰でも間違いを犯すものだ。有名人であっても例外ではない。ここでは、重要な財産である知的財産権を保護することなしに放置していることに気づかなかったが故に起こったことを説明する。

 米国ヒューストン出身のラッパー、トラヴィス・スコット(Travis Scott)は、商標登録の重要性をよく理解していた。彼の名前を米国で商標登録していたが、彼の名声は国境をはるかに越えて広がっていた。

 この名声にただ乗りしようと考えた中国の関係者が、衣料品を指定してEUで「TRAVIS SCOTT」商標を登録したのだ。商標は先願主義である。しかし、このルールには例外がある。名称の権利を他人が有していることを知っていた場合、その名称を使用するために商標登録することは、悪意のある行為とみなされることがあるのだ。これは、トラヴィス・スコットが法的手続きで主張したことである。

 しかし、彼の主張を立証するのは決して簡単なことではない。まず、トラヴィス・スコットは多くの証拠を提出することで、その名声を証明しなければならなかった。EUIPO(欧州連合知的財産庁)によれば、商標が有名人の名前と同一であるという事実だけでは、悪意の証拠として十分ではない。出願人の不正な行為を立証することが求められるのだ。トラヴィス・スコットにとって幸運だったのは、中国の出願人がこの名前でトラヴィス・スコットの歌詞をつけた服を販売していたため、不正行為を立証することができたことだ。そのため、商標登録の取消に成功した。 

 このようにして最悪の状況から脱することは不可能ではないわけだが、単に商標登録を行う方がはるかに簡単だ。知的財産権を保護する方法についてよく理解しておいてほしい。

本文は こちら (What happened when Travis Scott forgot to register himself)