先頃、中国国家知識産権局は『商標としての使用が禁止されている標識に関するガイドライン』(以下、『ガイドライン』という)を公表し、中国現行商標法の第十条第一項の使用の禁止条項について詳細に説明し、また関係標識を登録出願や使用する場合の法的責任を明確にした。
使用禁止の範囲を細分化
『ガイドライン』によると、商標は生産及び営業活動において市場主体が商品又は役務の出所を識別するための標識であり、商標としての登録や使用が禁止されている標識に関する商標法の規定を遵守しなければならない。
『ガイドライン』は、禁止使用条項自体についての説明のほか、関係標識が登録や使用できない理由について例を挙げて詳しく説明し、市場主体の関係条項に対する理解を多角的に深めさせている。
商標法第十条の第一項第(四)号の規定について、『ガイドライン』は以下のように説明している。管理と保証の実施を表す公的な標識や検査印は、政府が職務を遂行し、所管事項に対して行う承認・保証であり、国の信頼性を示すものであるため、商標として使用すべきではない。仮に他人がこの種の公的な標識や検査印を含む標識、又はそれに類似する標識を使用又は登録出願し、かつ関係機関から権利付与されていなければ、公衆に使用者又は登録出願者はこの標識の所有者で、あるいは公的機関から権利付与されていると容易に誤認させ、このタイプの標識の信頼性を損なわせてしまうことになる。
実務において、商標法第十条第一項の規定に例外はあるかどうか、登録済みの商標が引き続き効力を有するかどうかについて、『ガイドライン』は1983年の商標法施行前に登録された商標は引き続き効力を有するが、ただし関係条項に定められた主体の資質及び関係要件・要求を満たすものはこの限りでないと明確にしている。
商標法第十条第一項第(二)号の規定について、『ガイドライン』は例外的な情状、要件を明確にしている。商標法第十条第一項第(二)号は、外国名と同一又は類似する標識は商標として使用してはならないと規定している。それに対して『ガイドライン』は、「当事者が書面の証明書類を提出して当該国の政府から承認を得たことを表明すれば、一般的にこの使用禁止の規定を適用しない。当該商標が同一又は類似する商品やサービスを指定して当該国で登録された場合、当事者が当該国の政府から承認を得たと見なす」と補充説明をしている。
法的責任を明示
『ガイドライン』は、商標法第十条において関係標識は商標として使用してはならないと規定されているが、これは、関係標識は商標として登録してはならないだけでなく、商標としての使用も禁止されていることを示すものであり、市場主体が上記のような標識を使用すれば、関係機関は法により取り締まることを明確にしている。
具体的には、『ガイドライン』は以下のように明示している。上記標識の登録出願は商標法第十条第一項の規定違反により拒絶され、登録済みの商標も審判で無効とされる。悪意の商標出願と認定されれば、戒告や罰金などの罰則が適用され、その詳細は国家企業信用情報開示システムを介して公開される。『ガイドライン』にいう関係標識を登録せずに使用した場合、法により阻止され、期限を定めて是正を命じられ、公告、罰金などの罰則が適用される。
また、商標代理機構の義務について、『ガイドライン』は以下のように明確にしている。依頼人の商標出願が登録出願・使用禁止のものに該当する虞がある場合、商標代理機関と商標弁理士は、依頼人にこの種の商標の出願は拒絶され、且つ使用が禁止される可能性のあることを明確に通知しなければならない。依頼人の商標登録出願に悪意があると知り、又は知り得たにもかかわらず、その依頼を引き受けた場合には、その商標代理機関は訓戒、期限を定めた是正、戒告、罰金、商標代理業務の受理の停止などに処し、処罰の詳細は国家企業信用情報開示システムを介して公開する。
(中国知識産権情報網から翻訳)
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