2023-03-02

EU:オンライン上の商標権侵害でオンライン小売業者の責任をEU司法裁判所が示唆 - Novagraaf

EU司法裁判所(CJEU)は2022年12月の予備判決(preliminary ruling)で、クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)の偽靴広告をアマゾン(Amazon)が表示する行為により、オンライン小売業者であるアマゾンがオンライン商標権侵害の責任を負うとの判断を示した。Savvy Kaushalがこの事件の概要を紹介する。 

Amazon.comのようなオンライン・マーケットプレイスにおける商標権の権利行使に対して誰が責任を負うのかという厄介な問題が、昨年12月にCJEUに持ち込まれた。靴の象徴的ブランドであるクリスチャン・ルブタンは、ルブタンの赤い靴底の模倣品の広告をアマゾンが頻繁に表示していることを発見し、ベルギーとルクセンブルグで世界的なオンライン小売業者のアマゾンを商標権侵害で訴えた。  

ルブタンは、アマゾンの広告サービスが第三者の販売者ではなく、アマゾンからのものであると消費者に信じさせるものだと主張している。この事件は、アマゾンが第三者の広告に起因する商標権侵害に対して直接責任を負うかどうか、またどのような場合に責任を負うかを決定する予備判決を得るために、CJEUに付託された。

オンライン上の商標権侵害で考慮すべき要因
判決の中で、CJEUは、オンライン・マーケットプレイスの運営者が商標権侵害の責任を負うかどうかを判断する際に考慮すべき要因を示した。これらには以下の要因が含まれる。
* 広告の表示方法
* 平均的な消費者が、運営者が自らの名前と責任で侵害品を販売していると信じるに足るものかどうか
* 事業者が、マーケットプレイスのサービスと商業目的での商標の使用とを明確に区別しているかどうか

CJEUは、アマゾンが一貫して自社のロゴを使用してAmazon.com上で靴の広告を提示しており、消費者に、商品がアマゾンのために、アマゾンによって販売されていると思わせる可能性があると判断した。さらに、アマゾンが、ユーザーからの問い合わせへの対応や返品処理など、第三者である販売者に追加サービスを提供している事実は、アマゾンとAmazon.comで販売されている商品との間に関連性があるように見せることに寄与したとも判断した。

CJEUは、アマゾンが商標権侵害で有罪であるとは結論付けていないが(予備判決ではそのような決定的な結論が出ることはないため)、この判決により、アマゾンのようなオンラインマーケットプレイス運営者は、そのプラットフォーム上での第三者による模倣品販売に対して直接責任を負う可能性が高くなる。今後、アマゾンがオンライン上の商標権侵害で有罪になるかどうかは、ベルギーとルクセンブルグの国内裁判所の判断となる。

オンライン上で商標権侵害を発見したら、いつ、どのように行動すべきか
CJEUの判決は、ブランドオーナーがアマゾンのような大規模事業者に対してオンライン商標権侵害の申立てを行うことを容易にするものであり、現在のように個々の模倣品を追求しなければならないのとは対照的である。

Amazon.comのようなハイブリッドモデルを採用しているオンライン・マーケットプレイスは、自社の商品と第三者の販売者が販売する商品を明確に区別するために、ウェブサイトのレイアウトを再考する必要があるかもしれない。これにより、顧客は広告の出所と商品の実際の販売者を認識することができるようになるだろう。

一方、ブランドオーナーは、オンラインマーケットのプラットフォーム上で商標権の権利行使をする機会を最大限に活用するためにオンライン上のブランド保護戦略を見直すことを勧めたい。

本文は こちら (Online trademark infringement: Amazon to blame for trade in fake Louboutins suggests CJEU)