2023-03-13

日本:氏名の商標の登録要件緩和及びコンセント制度導入へ、「商標法等の一部改正案」を閣議決定 - 経産省

3月10日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開会中である第211回通常国会に提出された。

改正案は、知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直し、(1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化、(2)コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備、(3)国際的な事業展開に関する制度整備の3つを柱にしたものだ。

法律案の主な措置事項は以下のとおり;

(1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化
①登録可能な商標の拡充
* 商標法について、他人が既に登録している商標と類似する商標は登録できないが、先行商標権者の同意があり出所混同のおそれがない場合には登録可能にする。※ 併せて、不正競争防止法について、上記により登録された商標について、不正の目的でなくその商標を使用する行為等を不正競争として扱わないこととする。
* 商標法について、自己の名前で事業活動を行う者等がその名前を商標として利用できるよう、氏名を含む商標も、一定の場合には、他人の承諾なく登録可能にする。
②意匠登録手続の要件緩和
* 意匠法について、創作者等が出願前にデザインを複数公開した場合の救済措置を受けるための手続の要件を緩和する。
③デジタル空間における模倣行為の防止
* 不正競争防止法について、商品形態の模倣行為について、デジタル空間における他人の商品形態を模倣した商品の提供行為も不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるようにする。
④営業秘密・限定提供データの保護の強化
* 不正競争防止法について、ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止め請求等を可能とする。
* 不正競争防止法について、損害賠償訴訟で被侵害者の生産能力等を超える損害分も使用許諾料相当額として増額請求を可能とするなど、営業秘密等の保護を強化する。
* 特許法、実用新案法および意匠法について、一定の場合に特許権者の意思によらず他者に実施権を認める裁定手続において、提出書類に営業秘密が記載された場合に閲覧制限を可能にする。

(2)コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備
①送達制度の見直し
* 特許法及び工業所有権に関する手続等の特例に関する法律について、在外者へ査定結果等の書類を郵送できない場合に公表により送付したとみなすとともに、インターネットを通じた送達制度を整備する。
②書面手続のデジタル化等のための見直し
* 特許法、商標法及び工業所有権に関する手続等の特例に関する法律について、特許等に関する書面手続のデジタル化や商標の国際登録出願における手数料一括納付等を可能とする。
③手数料減免制度の見直し
* 特許法について、中小企業の特許に関する手数料の減免について、資力等の制約がある者の発明奨励・産業発達促進という制度趣旨を踏まえ、一部件数制限を設ける。

(3)国際的な事業展開に関する制度整備
①外国公務員贈賄に対する罰則の強化・拡充
* 不正競争防止法について、OECD外国公務員贈賄防止条約をより高い水準で的確に実施するため、自然人及び法人に対する法定刑を引き上げるとともに、日本企業の外国人従業員による海外での単独贈賄行為も処罰対象とする(両罰規定により、法人の処罰対象も拡大)。
②国際的な営業秘密侵害事案における手続の明確化
* 不正競争防止法について、国外において日本企業の営業秘密の侵害が発生した場合にも日本の裁判所に訴訟を提起でき、日本の不競法を適用することとする。

経産省のニュースリリースは こちら (「不正競争防止法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました)