2023-05-23

工藤莞司の注目裁判:バッグに係る立体登録商標について権利侵害が認められた事例

(令和5年3月9日 東京地裁令和 3 年(ワ)第22287号 バッグ立体商標侵害事件)

事案の概要 
 本件は、バッグについて立体商標バーキン商標に係る商標権1(登録第5438059号)及びケリー商標に係る商標権2(右図参照登録第5438058号)を有する原告が、被告が販売した被告商品バッグの形状はそれぞれバーキン商標及びケリー商標に類似するとして、被告に対し原告商標権侵害の不法行為(民法 709 条)及び不正競争防止法に基づき損害賠償等を求めた事案である。以下のとおり、商標権侵害が認められて、不正競争防止法については判断されていない。

判 旨 
(商標権侵害)バーキン商標と被告商品1の形状の類否について被告商品1の形状は、バーキン商標の特徴を全て備えていると認められる。このことに鑑みると、バーキン商標と被告商品1の形状は、その外観が類似しているものといえる。これに対し、被告は、角部及び側面の各形状、蓋部の長さ及びハンドルの形状等の相違点を指摘して、両者は外観上類似していないと主張する。しかし、バーキン商標の特徴は いずれもハンドバッグの外観を特徴付ける基礎的な構成に関わるものであり、需要者がハ ンドバッグの外観から受ける印象に大きな影響を及ぼし得る。他方、被告が指摘する上記各相違点は、バーキン商標の特徴の構成要素と比較すると、ハンドバッグの細部に関するものであるにとどまり、しかも、バーキン商標と慎重に比較して初めて相違点と認識し得る程度の相違に過ぎない。また、バーキン商標はサイズや生地を特定したものではないこと、被告商品1のチャーム(取り外し可能なもの)は付属品に過ぎないことに鑑みると、これらに関する相違点はバーキン商標と被告商品1の形状の類否の判断に当たり考慮すべき事情とはいえない。
 バーキン商標及び被告商品1の形状は、いずれも特定の観念及び称呼を生じさせるものとは認められない。バーキン商標と被告商品1の形状とは外観上類似している上、バーキンと被告商品1のどちらも少なくとも百貨店にある店舗で販売されている点で、その販路が共通している。このため、取引の実情を考慮しても、被告商品1の出所について誤認混同を生じるおそれがあることがうかがわれる。
 ケリー商標と被告商品2の形状は、その外観において類似し、観念又は称呼は類否判断の要素となり得ず、取引の実情を考慮しても出所の誤認混同を生じる おそれがあることから、類似するものといえる。

コメント 
 本件事案では、バッグに係る立体商標に関し商標権侵害が争われて、これが認められた事例である。両商標の基本的な形状の共通性から類似と判断され、仔細な部分の相違は影響しないとされたもので、離隔観察からである。被告は、商標的使用ではないと主張したが、否定された。原告には、信用棄損を含めて約500万円の損害賠償請求が認められた。
 従来この種形状の商品については、不正競争防止法で争われたが、そこでは周知性、具体的な混同の虞も必要とされるが、商標権侵害では類似形状であれば、侵害となり保護される。