2023-05-10

2023年のプラギアリアス賞(模倣大賞)、第1位はモジュラー型ウォールシェルフ

2023年のプラギアリアス賞(Plagiarius Award)が発表された。
 プラギアリアス賞は、模倣品が合法か違法かについては触れずに、製品やブランドに対する悪質な権利侵害に関する公衆の意識を高め、業界、政界、消費者を感化することを目的としたもので、ドイツのデザイナー、リド・ブッセ氏が1977年に模倣に対する皮肉を込めて創設した賞。「Plagiarius」はラテン語で「模倣品」「盗作」を意味している。

2023年プラギアリアス賞のTop3は以下のとおり;

第1位:モジュラー型ウォールシェルフ 「LINK」
真正品(図左): Studio Hausen/Jörg Höltje(ドイツ)
模倣品(図右): 販売:ドイツの家具チェーン店(EU全域)

 デザイン、コンセプト、サイズは1:1で模倣されているが、品質の差は大きく決してごまかせない。真正品は高品質な仕上がりで、持続可能な森林から伐採されたFSC認証を受けた無垢材を使用している。一方、模倣品は低品質の熱帯産マンゴー材を使用し、安価なハンガーは歪んでいる。家具チェーン店は、販売を中止し、在庫を破棄し、販売数を示した。

第2位:グラス「CLUB NO. 6 Superglas 300ml」
真正品(図上):Koziol ideas for friends GmbH(ドイツ)
模倣品(図下): METPLAS A.S./「Rubikap」プラスチック製食器(トルコ)

 Koziolの「CLUB SUPERGLAS」シリーズの特徴は、透明度、輝き、光の屈折といったガラスの特性と、割れにくさ、断熱性、軽さ、独特のカラーといったプラスチックの長所を兼ね備えたハイテク素材であり100%リサイクル可能だ。一方、模倣品は、形状、コンセプト、カットのデザインをほぼ1対1で模倣している。しかし直接比較してみると、より地味な仕上がりで、安定性が悪く、プラスチック特有の光沢のない外観であることがわかる。KoziolはEUでその意匠を権利保護しているが、模倣品は「特許取得済み」と宣伝している。

第3位:メルセデス・ベンツ故障診断ツール「XENTRY Diagnosis」(OBD-On-Board-Diagnosis用)、メルセデス・ベンツ故障診断ツール「XENTRY Diagnosis」
真正品(図左): メルセデス・ベンツ・グループAG(ドイツ)
模倣品(図右): 販売: OBD診断ツール(ドイツ)

 車の故障診断システム(OBD)は、修理やメンテナンスの時に使用される。いわゆるマルチプレクサ「SD connect」は、車両のOBDソケットと診断コンピュータの間のインターフェースとして機能する。模倣品は、ウェブサイトやeBayで広告・宣伝されていた。シュトゥットガルト地方裁判所は、診断ソフトウェアを指定して登録された「MERCEDES-BENZ」商標、「Mercedes star」商標、「XENTRY」商標の権利を侵害したとして民事で有罪判決を下し、刑事訴訟手続も開始された。模倣された故障診断システムは、シートベルトの警告や最高速度の制限を解除するなどの悪用が可能なだけでなく、通常アップデートされてない古いソフトウェアを使用しているため、修理やメンテナンスが最新の技術で行われず、最高レベルの安全性が得られない。エラーが検出されず安全性に問題が生じる可能性がある。

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