先日、イタリアのファッションブランド2社が、EU商標の異議申立事件で対決した。
争点となったのは、DOLCE & GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)の新しいロゴで、王冠が上についた文字「K」が要部になっており、「K」の下には、「DOLCE & GABBANA」の文字が小さく描かれている。
この商標出願は、Kappa(カッパ)の痛いところを突いた。Kappaといえば、「背中合わせの男女」のロゴが有名だが、時折、文字「K」を使うこともあり、イタリアで衣料品などを指定して商標登録している。
Kappaにとって複雑な事情は、Dolce & Gabbanaの出願が衣料品ではなく、化粧品に関するものであったことだ。化粧品と衣料品は類似する商品ではないため、Kappaの異議申立は、著名商標が享受すべき広範な保護に基づいており、非類似の商品であっても保護は可能というものであった。Kappaは、異議申立の根拠となるKappaの「背中合わせの男女」ロゴと「K」ロゴの両方が享受している名声の証拠を提供しなければならなかったが、そこがうまくいかなかった。
EUIPO(欧州連合知的財産庁)は、Kappaの「背中合わせの男女」ロゴの名声についての証拠は認めたものの、「K」はKappaによってわずかしか使われておらず、提出された証拠では名声の程度を示すことはできないとの判断を示した。つまり、「K」ロゴが保護を受けるに足る名声があるとは認めなかった。
その結果、Kappaの「背中合わせの男女」ロゴとDolce & Gabbanaの「K」を比較したが、これらの標章は殆ど似ていないとして、Kappaの異議申立ては認められなかった。