カシオ計算機が第14類「腕時計」を指定商品として商標登録出願した耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」の初号機の形状が、令和5年6月26日に立体商標(図右)として特許庁に登録された。
特許庁は、出願商標(出願日:令和3年4月28日)をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の美観や機能を発揮するために採用し得る立体的形状を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するため、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、令和4年4月11日付けで登録を拒絶する査定を行ったが、同年7月15日に拒絶査定不服審判が請求された。審判では商標法第3条第1項第3号に該当するものの、長年にわたる使用の結果、需要者がカシオ計算機の業務に係る商品であることを認識できるとして、商標法第3条第2項の要件を具備すると判断された。
原査定では、「腕時計」を取り扱う業界においては、本願商標と同じように、ベルト及び文字を表示する(又は文字盤を配する)ケースからなる形状の商品の取引が行われており、さらに、商品の美観や機能を発揮させるため、ベルトやケース等に様々な装飾を施した商品が製造販売されている実情があるため、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の美観や機能を発揮するために採用し得る立体的形状を普通に用いられる方法で表示したものとして認識すると判断され拒絶査定となった。
しかし、審判では、長年の販売期間と長期にわたる安定した販売実績及び広告宣伝により商品(G-SHOCK)がカシオ・ブランドを象徴する代表的なモデルに位置づけられ、その形状は、従来の腕時計にはない、耐衝撃性を備える独特の形状からなると評価されており、また、アンケート調査によれば、日本全国に居住する16歳以上の男女のうち、本願商標に相当する画像から、カシオ計算機との関連を回答できたのは、多肢選択式の回答も考慮すれば、6割を超えることから、立体的形状(ベゼル、ケース、バンド)は、商品が備える独特な商品形状として、その指定商品に係る需要者の間において、相当程度認知され、出所識別標識たり得る特徴として、広く認識されるに至ったと認められる商品であると判断された。
なお、カシオは商品名である「G-SHOCK」のほか、模倣名称を防ぐため、A-SHOCKからZ-SHOCKまで全ての「○-SHOCK」を商標登録している。