神奈川県の酒造メーカー「吉川醸造株式会社(以下、吉川醸造社)」が、ラーメンチェーン店「AFURI」(以下、AFURI社)から「AFURI」の商標をめぐって提訴されたと自社サイトで公表した。
これまで、清酒を含む33類を指定した両社の「AFURI」関連商標の登録出願は以下の通りだ。
AFURI社
2019年4月24日:「AFURI」出願、翌年4月14日登録
2022年5月6日:「AFURI\阿夫利」及び図形と結合した「AFURI」出願、同年9月2日登録
2022年7月15日:「阿夫利」出願、同年11月30日登録
2023年3月6日:「AFURI\アフリ」及び「あふり」出願(審査係属中)
吉川醸造社
2021年1月27日:毛筆体「雨降」出願、同年6月30日登録(無効審判中)
2023年3月14日:毛筆体「雨降」と「AFURI」の結合商標を出願(審査係属中)
2023年3月14日:「雨降///あふり」出願(審査係属中)
吉川醸造社の主張(2023年8月22日)
昨年8月、ラーメンチェーン店の「AFURI社」から、当社商品である日本酒「雨降(あふり)」に付された商標(以下「当社商標」といいます)がAFURI社の商標権を侵害している旨の文書を受け取りました。
文書の大意としては、”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした。
これにつき、双方弁護士を交えた協議を重ねて参りましたが、最終的に不調に終わったことから、AFURI社は、当社商標の使用差止や損害賠償等を求めて東京地方裁判所に提訴しました。
当サイトにも記載の通り、「雨降(あふり)」銘柄は、丹沢大山の古名「あめふり(あふり)山」と、酒造の神を祀る近隣の大山阿夫利神社(以下「阿夫利神社」といいます)にちなんで命名したものであり、ラベル「雨降」の文字も阿夫利神社の神職に揮毫していただいたものです。また、「雨降」の読み方としてローマ字のAFURIと記載していること、またそもそも「阿夫利」「あふり」は地域・歴史・文化に根差した名称であることから、当社商標の使用はAFURI社の商標権を侵害するものではないと考えております。
AFURI社の主張(2023年8月26日)
当社は、2017年からアメリカで日本酒を提供してまいりましたが、新事業の一環として、日本国内で日本酒事業への進出を図っており、現に国内外数店舗において、「AFURI」ブランドの日本酒の提供を開始しています。このため、2020年に日本酒に関する「AFURI」の商標登録(登録番号第6245408号)を取得致しました。
しかしながら、吉川醸造社が、日本酒に「AFURI」を使用して販売している事実が発覚しました。吉川醸造社は、「雨降山」を意味する「雨降」を商標登録しておりますが、「雨降」だけでなく、当社が日本酒に関しても登録している「AFURI」を使用していたのです。吉川醸造社が当社の商標権を侵害していることは明白です。
吉川醸造社との間で数回に渡って話し合いの機会を持ち、再三に渡って日本酒への「AFURI」の使用の中止を真摯にお願いしてまいりました。今後「AFURI」の使用を中止するのであれば、在庫の販売は認めていたのであり、吉川醸造社に商品の廃棄を求めていたわけではありません。しかし、吉川醸造社には当社側のお願い、申し入れが聞き入れられず、やむなく最終的な判断を司法の場に求めることになりました。
このAFURI社のブランド保護活動に対して、今のところ、SNS上では地域の名称である「あふり」が独占されるということでAFURI社に批判的な声が多いようだが、はたして司法の判断はどうか注目される。