広く認識されている商標は、一般的に有名な名称と象徴的なロゴで構成され、多くの場合、認知度の高いパッケージも備えている。
フィリップモリスが製造するたばこブランド「マルボロ(Marlboro)」のパッケージは、無地の多角形で上部の白い三角形が特徴として際立っている。
確立されたブランドの所有者は、商標を構成する特徴的な要素を保護するためにあらゆる手段を講じる。そのためには、これらの要素を商標として個別にも集合的にも登録し、侵害から強力に防御する必要がある。他人の商標が自社の商標を侵害することを許せば、商標の識別力が失われ、商標の弱体化につながりかねない。
これこそ、フィリップモリスが、最近「Mikaello」の商標登録に異議を申立てたことでもわかる。フィリップモリスは異議申立の中で、(特に)「Mikaello」商標に三角の峰があること、マルボロのタバコ・パッケージの上半分が商標登録されていることを挙げている。同社は、著名商標へ対して混同の虞があり、フリーライドであり、不利益をもたらすものだと主張している。混同の虞を立証するには、商標間で合理的に高い類似性がなければならない。フリーライドは商標間の関連性を立証すれば十分である。しかし、「Mikaello」という文字自体は「Marlboro」商標と類似性がないため、この要素がどの程度十分な違いをもたらすかが問題となる。
もし仮に、両商標間に類似性がなく、その結果混同の虞がないという出願人の主張にEUIPO(欧州連合知的財産庁)が理解を示したとしても、出願人は両商標間の関連性については反証する必要があり、これはより難しい課題であると思われる。なぜなら「Mikaello」のパッケージを見れば、ほとんどの人がマルボロのロゴを思い浮かべるに違いないからだ。