2024-01-10

米国:ついに著作権が切れたミッキーマウス ― Marks & Clerk

 米ウォルト・ディズニー(Walt Disney)のキャラクター「ミッキーマウス(Mickey Mouse)」の初代版の著作権が2024年1月1日の0時に著作権が失効し、パブリックドメインとなった。「パブリックドメインになる日」は、著作権で保護されていた創作物を誰でもが利用したり、改変したりする機会に火をつける日となる。

 2024年1月1日にパブリックドメインとなったのは、1928年のアニメーション映画「蒸気船ウィリー(Steamboat Willie)」とサイレント版「プレーン・クレイジー(Plane Crazy)」に登場した、オリジナルのディズニーのモノクロ・キャラクターであり、「ファンタジア(Fantasia)」のような後に著作権保護された作品に登場する進化したバージョンのミッキーは、今のところは踏み込んではいけない聖域のままだ。 

 ディズニーは、アメリカにおける著作権法の延長を提唱する上で極めて重要な役割を果たした。ミッキーマウスのようなキャラクターをほぼ1世紀にわたって保護した。多くの芸術作品にさらに20年の保護を加えた1998年の著作権延長法を推し進めるにあたり、一部の懐疑論者はこれを「ミッキーマウス保護法」と揶揄した。しかしながら、ミッキーマウスの最初の映画的描写は、のどかな蒸気船から流血のホラー映画やホラーゲームに自由に移行できるようになった。

 架空のキャラクターの保護は、著作権、意匠権、商標権などを包含する複雑な課題を伴う。米国においてオリジナルの「蒸気船ウィリー」のミッキーマウスの著作権は期限が切れたばかりだが、商標の更新にはそのような制約はない。ミッキーマウスのようなキャラクター名の商標登録はその本質的な識別力により比較的簡単であり、また、広範な使用と社会的認知により、そのような商標はますます権利行使しやすくなる。「蒸気船ウィリー」のミッキーマウスの著作権が失効しても、それより新しい現代版はまったく影響を受けない。ディズニーは、これらの現代版ミッキーがディズニーの展開する物語やテーマパークでの体験、マーチャンダイジングの中心に存在し続けることを強調しており、無許可の使用から生じる消費者の混乱を防ぐために、ミッキーやその他の著作物の新しいバージョンに対する権利を守ることに警戒を怠らないだろう。

 おそらくディズニーが歯を食いしばりながらもクリエイターに伝えるメッセージは、パブリックドメインのミッキーマウスをパクって楽しめ、しかし用心しろ……公衆を誤解させたり、現在もディズニーが権利行使できるミッキーの広範囲に権利を持つ商標権や著作権を侵害したりしないようにしろ、ということだろう。

 様々な知的財産権を利用することで、創作物やイノベーションの様々な側面を保護する包括的な盾となりえる。著作権は独創的な表現を保護し、商標はブランド・アイデンティティを保護し、特許は発明を保護する。さまざまな知的財産権を活用することで、侵害を防御し、市場独占を可能にし、さまざまな領域で知的資産の独自性と価値を維持し、全体的な保護を確保することができる。
 ミッキーが今後どのような道を歩むのか、興味深いところだ。

本文は こちら (It’s all a bit Mickey Mouse)