オフラインとオンライン上での地理的表示保護、生産者の権利強化、地理的表示の登録手続きの簡素化を目的としたEU規則(本規則)が欧州議会で承認された。
理事会がこの規則を正式に採択すると欧州連合官報に掲載され20日後に発効する。
本規則は、インターネットコンテンツの配信にあたり提供する事業者へのアクセスを試みる「利用者の地理的位置」に応じて一定の制限を加えるジオブロッキングによってオンライン上の地理的表示をより強固に保護し、地理的表示の登録産品を主な原料として加工・製造された製品が加工製品の名称、表示、広告に使用することができる条件を定義し、生産者グループに価値を下げる販売慣行や価格引下げに対抗できるように多くの権利を与えている。
オンライン上の保護
オンライン上の保護について、欧州議会議員は各国がオフラインだけでなくオンラインにおいても、知的財産の不正使用を防止または停止するための行政的・司法的措置を講じなければならないと主張した。知的財産を不正に使用しているドメイン名は閉鎖されるか、ジオブロッキングによってアクセスできなくなる。EUIPO(欧州連合知的財産庁)によりドメイン名警告システムが設けられる。
原材料の地理的表示保護
本規則は、地理的表示の登録産品を主な原料として加工・製造された製品は、その地理的表示である原材料が加工製品に必須特性を付与するのに十分な量使用され、その地理的表示に匹敵する他の製品が使用されていない場合に限り、加工製品の名称、表示、広告に使用することができると定義している。ラベルには、当該原材料の含有率を表示しなければならない。その原材料の公認生産者団体は、加工製品の生産者から通知を受けなければならず、地理的表示の正しい使用に関する勧告を出すことができる。
生産者の権利強化
本規則により、地理的表示の生産者が商品のイメージや価値を損なうような行為(価値を下げる行為や価格の引下げなど)を防止したり、対抗したりすることができるようになる。また消費者の透明性を高めるため、すべての地理的表示のパッケージで生産者名が地理的表示と同じ視野中に表示されるようになる。
登録の合理化
本規則によると、欧州委員会が引き続き地理的表示制度の唯一の審査機関となる。地理的表示の登録手続きはより簡素化され、新しい地理的表示の審査には6ヶ月という期限が設けられる。
EUの地理的表示登録簿には約3,500件が登録されており、その販売額は約800億ユーロにのぼる。地理的表示のある商品の販売額は、認証されていない類似商品の2倍程度であることが多い。保護されている商品の例としては、パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano Reggiano)、シャンパン(Champagne)、ポーランド・ウォッカ(Polish Vodka)などがある。
本文は こちら (MEPs improve EU protection for quality agricultural products)