2024-03-18

USTR報告:オンライン上の模倣品・海賊版で悪質なマーケットプレイスは… - Novagraaf

 米国通商代表部(USTR)は、マーケットプレイスにおける模倣品に関する包括的な年次レビューを発表した。NovafraafのMarc-Emmanuel Melletが主な調査結果を要約する。
「2023 Review of Notorious Counterfeiting and Piracy Markets(2023年版悪名高き模倣品と海賊版のマーケットに関する報告書)」は、オンライン上の模倣品を量的にランク付けし、最悪の犯罪者を特定している。また、例年と同様、模倣品・海賊版に関連する特定の問題(模倣品がもたらす潜在的な健康・安全リスク)に焦点を当てている。

オンライン上の模倣品:消費者のリスク
 模倣品は、企業や知的財産権所有者にとって有害なだけではなく、多くの場合、消費者の健康と安全にも重大なリスクをもたらしている。
 模倣者は規制や監視の枠外で活動しており、基準を満たしていない材料を使用したり、要求される安全基準を遵守しなかったりしている。このような状況下で作られた商品は、「日用品」の危険性を認識していない消費者に深刻なリスクをもたらす可能性がある。
特に、玩具や子供向け製品、自動車部品、電子製品、医薬品、化粧品、衣料品、靴などの模倣品が対象となっている。商標法および模倣品防止法を権利者および国境管理者が適切かつ効果的に執行することは、模倣に関連する潜在的な健康・安全リスクを低減する上で重要な役割を果たす。
 その他、「2023年版悪名高き模倣品と海賊版のマーケットに関する報告書」では、海賊版コンテンツを匿名で配信する「サイバーロッカー(ファイルをインターネットにアップロードして他のユーザーと共有しダウンロードを可能にするクラウドサービス)」の利用など、模倣品関連の技術、隠蔽方法、収益モデルに関するさまざまな事例を紹介している。また、「防弾ホスティング(匿名性の高いホスティングサービス)」も模倣行為を助長していると指摘されている。報告書の分析では、電子商取引プラットフォームやソーシャル・メディアを通じた模倣品の販売に関する継続的な懸念や、インフルエンサーを利用した模倣品及びだます商品の宣伝が増加したことも強調されている。一方で、一部のプラットフォームでは、新しい技術や検証方法を用いて模倣品対策に取り組んでいることも指摘された。 

最も悪質なマーケットプレイスは?
 以下は、USTRによる電子商取引プラットフォームとマーケットプレイスが指摘する最も悪質なマーケットプレイスである;  
Avito はロシアを拠点にオンライン上で模倣品の案内広告を掲載している。Avitoは侵害証明の詳細を要求し、侵害を繰り返す者に対する効果的な措置を取らないため、権利者はこれらの掲載を削除させるのが難しい。つまり、Avitoは権利者と協力して模倣品の販売を防止しようという意志に欠けているように見える。
Bukalapak はインドネシア有数のEC(電子商取引)サイトである。知名度が高いにもかかわらず、権利者はBukalapakでの模倣品に対抗するためのサポートが不足していると指摘している。通知と削除のプロセスには改善が見られるものの、侵害を繰り返す業者に対する制裁がないことについては懸念が残る。
DHgate は中国最大級の越境ECプラットフォームである。DHgateは、出品者の選別と模倣品監視を改善するための新たな取組みを実施しているが、DHgateのサイト上には依然として大量の模倣品が出回っている。再犯者に対する厳しい罰則が導入されたが、出品者の身分証明書の偽造は依然として問題になっている。また、ソーシャル・メディア上でインフルエンサーが隠しリンクを使用して模倣品を宣伝することが普通に行われていると指摘されている。
IndiaMART はインドの大手企業間電子マーケットプレイスである。専用のオンラインIP苦情フォームや販売者の確認プロセスなど模倣品対策が講じられているが、IndiaMARTのプラットフォーム上では、特に医薬品、電子機器、衣料品の分野で模倣品が大量に出回っている。権利者は、模倣品に対する積極的な監視の欠如や販売者からの明確な証明の欠如について懸念を表明している。
Pinduoduo は中国の大手電子商取引プラットフォームである。Pinduoduoのプラットフォームは模倣品対策を実施していると主張しているが、権利者からの報告によると、出品者と出品物をフィルタリングする積極的な対策がなく、厳しい証明要件、長いテイクダウンタイム、透明性の欠如がある。さらに権利者は、「正規販売者(authorised sellers)」と表示されたスポンサー広告が消費者に誤解を与えるなど、販売者の管理が悪化していると指摘している。権利者はまた、模倣品調査のための情報やサポートを得ることも難しいと感じている。
Shopee はシンガポールを拠点とする大手ECプラットフォームで、ブランド保護と模倣品対策への取組みを強化し、知的財産ポータルを拡大し、積極的な管理を強化するためのパートナーシップ・プログラムを開始した。台湾やベトナムなどでは報告手続きやテイクダウンにかかる時間が改善されたものの、一部の権利者からは、特にブラジルとインドネシアにおいて、一部のShopeeプラットフォームで大量の模倣品が出回っているとの報告がある。  
タオバオ(Taobao) はアリババの中国消費者向けプラットフォームであり、世界最大級のECプラットフォームである。アリババは模倣品対策プロセスの改善の取り組みや当局と協力しての模倣品対策に積極的に取り組んできたが、最近の組織変更により、その限られたリソースに対する懸念が高まっている。特にタオバオでは模倣品のプレゼンスが高く、海賊版が増加していると権利者から報告されている。権利者は、侵害報告プロセスの改善を求めており、これには、削除通知の基準をより厳格にすることや、出品者、特に度重なる苦情にもかかわらず出品を続けている「タオファクトリー(Tao Factory)」の出品者をよく審査することなどが含まれている。  
WeChat(微信) は中国における模倣品販売の主要なプラットフォームである。そのオーナーであるテンセントは、新たな監視ツールや罰則の強化など、模倣品対策への取り組みを強化しているが、WeChatのプラットフォームが世界中でこうした対策を積極的に実施できるかどうかについては懸念が残る。また、ブロックされた直後に詐欺行為を再開する者もおり、常習犯も引き続き問題となっている。 

悪質なレジストラやホストは?
 USTRによると、悪質なレジストラやホスティングは以下の通り;
Amarutu はオフショアの「防弾ホスティング」プロバイダーで、苦情や違法コンテンツの削除要請に無反応であることで知られており、海賊版サイトが頻繁に利用している。香港の住所を持ち、香港とオランダにデータセンターがあると主張しているが、セーシェルで登記されている。
FlokiNET もまた、権利者や当局との協力を拒否して侵害サイトを支援していると非難されている「防弾ホスティング」プロバイダーだ。FlokiNETは、違法行為の通告を無視するだけでなく、ウェブサイト上で、コンテンツの匿名性を明確に奨励している。また、数カ国で著作権侵害に関連する多くのサイトをホスティングしている疑いがある。
Squitter Networks(or ABC Consultancy) は、もう一つの「防弾ホスティング」プロバイダーで、幾つかのオンライン海賊版サービスをホスティングしている。現在、サイトと関連企業の所在地を調査中だ。Squitterは匿名で運営されているようで、何千もの削除要請を無視し、いかなる連絡にも応じない。

オンラインマーケットプレイスにおける模倣: 権利者は何をすべきか?
 模倣品やその他の侵害品、コンテンツをホストしているECサイトやマーケットプレイスは膨大な数に上るため、ブランドオーナーはどこから手をつければよいのか分からないかもしれない。そのため、貴社のビジネスに最適な監視・権利行使戦略をアドバイスできるオンラインブランド保護の専門家と協力することを勧めたい。

本文は こちら (Online counterfeiting: The worst marketplaces for fake and pirated goods)