2024-04-15

「オーガスタ・ナショナル」:ブランドを育てるマスターズ - Marks & Clerk

 日本時間の今朝に閉幕したマスターズは、地球上で最も有名なゴルフ大会のひとつだが、その舞台裏で「Augusta National(オーガスタ・ナショナル:マスターズの舞台となるゴルフコース)」は、マスターズを世界中のスポーツファンの間で象徴的な地位に押し上げるのに貢献した、スポーツ・ブランディングのマスター(達人)でもある。

 マスターズに関して、「他とは違う伝統」に基づく知的財産の一部であり、オーガスタ・ナショナルがその知的財産をどのように活用してきたかを見てみよう。

 マスターズの優勝者に贈られる象徴的なグリーン・ジャケットは、スポーツ界でも憧れの的であるだけでなく、オーガスタ・ナショナルの知的財産の一部でもある。パントーンのカラーナンバー342のグリーン生地で作られたグリーン・ジャケットは、米国で図形商標としても登録されている(登録番号:6000045)。

 当然のことながら、オーガスタ・ナショナルは「Masters」、「Augusta National」、「Amen Corner(アーメン・コーナー)」などを商標として登録している。さらに驚くのは、商標が指定された商品・サービスの範囲である。衣料品やゴルフ用品から、チョコレート・バー、コンピュータ・プログラム、輸送サービスまで多岐にわたっている。したがって、これは、オーガスタ・ナショナルが幅広くブランドを展開し、ブランドの露出機会を最大化する狙いを示す良い例だ。

 オーガスタ・ナショナルはまた、マスターズを世界中に放送する権利の重要性をよく理解しており、これをブランド・イメージの向上機会としても利用している。各国の放送局はマスターズの映像を放映する権利を確保するために熾烈な争いを繰り広げるのだろうが、オーガスタ・ナショナルはすべてのライセンス契約において、マスターズを紹介する方法についてある程度の統制を保っている。これには放送中の広告の種類や数に関する制限も含まれており、これによりマスターズがブランドと一致したより洗練された視聴体験となるのだ。これはマスターズ開幕前日に行われるパー3コンテストにも及んでいる。

 したがって、マスターズは年に一度の最高のスポーツ・スペクタクルのひとつであるだけでなく、象徴的なスポーツ・イベントとしての伝統、イメージ、名声を保護、維持、向上させる上で、知的財産がいかに重要な役割を果たしているかを示す代表的な例でもあることが、この例からもわかる。
オーガスタ・ナショナルが、自分たちのブランドとは何か、そしてそれをどのように守るべきかを理解しているからこそ、マスターズは今日のような世界的なスポーツ現象にまで成長したのだ。

本文は こちら (Augusta National – Masters of Growing the Brand)