2024-04-01

日本:特許庁が仮想空間及びNFTに関する指定商品・指定役務のガイドラインを公表

 近年、仮想空間のビジネスへの活用が進み、仮想空間に関する商品・役務を指定する商標登録出願が増加傾向にあることから、ニース協定に基づく「商品・サービス国際分類表〔第12-2024版〕アルファベット順一覧表」においては、第9類「downloadable virtual clothing」(ダウンロード可能な仮想被服)及び第35類「online retail services for downloadable virtual clothing」(オンラインによるダウンロード可能な仮想被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)等が追加された。
 これらを受け、特許庁は、仮想空間及び非代替性トークン(NFT)に関する指定商品・指定役務の以下のようにガイドラインを作成し、運用を明確化した。
 本ガイドラインは、その公表日において特許庁に係属している商標登録出願、又は、公表日以降にされた出願であって、指定商品・指定役務中に、仮想空間及び非代替性トークン(NFT)に関する指定商品・指定役務を含む出願に適用される。

1. 仮想商品について
「仮想商品」とは、「主に仮想空間上で商品等の形状を表示するためのデジタルデータ」をいう。「仮想商品」の一例として「仮想被服」が挙げられ、これは、「主に仮想空間上で被服の形状を表示するためのデジタルデータ」をいう。「仮想商品」は、どのような商品等の形状を表すものか不明確であり、広範であるため単独では指定商品又は指定役務の表示として採用できない。また「仮想被服」は、「被服」を模したものと考えられるとしても、世間一般に既成語として知られた語ではなく、やはり不明確であるため、単独では指定商品又は指定役務の表示として採用できない。

本ガイドラインの公表以降採用可能な指定商品・役務の表示例
第9類:ダウンロード可能な仮想被服
第35類:オンラインによるダウンロード可能な仮想被服の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
※ダウンロード可能な仮想商品は、第9類以外には分類されない。したがって、第9類以外の区分において「ダウンロード可能な仮想○○」及び仮想商品と解釈しうる表示「仮想○○」が指定された場合、採用できない。

仮想空間に関する採用可能な指定役務の表示例
第35類:仮想空間における広告業
第38類:仮想空間におけるチャットルーム形式による通信
第42類:仮想空間のホスティング
第36類:仮想空間で提供されるオンラインによる銀行業務
第41類:仮想空間における音楽コンサートの上演
第41類:仮想空間における娯楽の提供
第41類:仮想空間を通じたオンラインゲームの提供
※第43類「飲食物の提供」は現実の飲食を伴うが、「仮想空間における飲食物の提供」は現実の飲食を伴わず、役務の目的や結果が異なるため採用できない。

2. 非代替性トークン(NFT)に関する指定商品・指定役務について
「非代替性トークン(NFT)」とは、「偽造・改ざん不能のデジタルデータ」であり、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一性を付与して真贋性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能を有する。また、当該語は、「アート作品など、複製でないことに価値があるものに、それが唯一のデータであることを証明する情報を埋め込んだもの」等の意味合いでも用いられる。
したがって、「非代替性トークン(NFT)」、「非代替性トークン」及び「NFT」は、単独ではその意味合いが特定できず不明確であるため、指定商品又は指定役務の表示として採用できない。

非代替性トークン(NFT)に関する採用可能な指定商品・役務の表示例
第9類:非代替性トークン(NFT)により認証されたダウンロード可能なデジタル画像ファイル
第25類:非代替性トークン(NFT)により認証された現実の被服
第35類:非代替性トークン(NFT)により認証されたダウンロード可能なデジタル画像ファイルの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
第35類:デジタル画像ファイルの非代替性トークン(NFT)による認証取得のための事務手続の代行
第36類:非代替性トークン(NFT)により認証された暗号資産の管理
第42類:オンラインによるダウンロードが不可能な非代替性トークン(NFT)生成用のコンピュータソフトウェアの提供

ガイドラインの詳細は こちら (特許庁のサイト)