2024-08-26

日本:マーク・ゴンザレスの氏名等の商標に関する審決取消訴訟で知財高裁が判決

米国のスケートブランド「Mark Gonzales(マーク・ゴンザレス)」を日本で展開する株式会社SHIFFON(以下、「SHIFFON社」)によると、マーク・ゴンザレス氏とサクラインターナショナル株式会社(以下、「サクラインターナショナル社」)が、サクラインターナショナル社が保有する7件の商標(マーク・ゴンザレス氏が制作したアートワークである「エンジェル」図形やマーク・ゴンザレス氏の氏名等に関する商標を含む)の有効性について争っていた審決取消訴訟において、知的財産高等裁判所が2024年8月8日に判決を下したと発表した。

判決の主な内容は以下の通り;
1. サクラインターナショナル社が保有する7件の商標のうち、3件の商標は無効、4件の商標は有効である。有効と判断された4件の商標について、マーク・ゴンザレス氏は、サクラインターナショナル社とのライセンス契約に基づく返還請求権を有する
2. 「エンジェル」図形の著作権についてはマーク・ゴンザレス氏側が保有する
3. サクラインターナショナル社とのライセンス契約終了後、サクラインターナショナル社は、「エンジェル」図形やマーク・ゴンザレス氏の氏名等を使用できなくなっており、サクラインターナショナル社が現在行っているブランド展開は正当性のないものである

 知財高裁の判決に対して、SHIFFON社は、「マーク・ゴンザレス」ブランドの運営の正当性を基礎づけられたものと評価し、今後、マーク・ゴンザレス氏、トゥルマイズ(TULUMIZE inc.)社と協力して、ブランド運営を強化・加速させていくとともに、サクラインターナショナル社に責任ある対応を求めていくとしている。
 なお、判決は現時点で確定してはいないが、SHIFFON社は関係者に対する影響を重視して、裁判結果についての詳細情報を速やかに伝えることを決定し発表に至った。

事件の経緯
 マーク・ゴンザレス氏は米国のプロスケートボーダー兼アーティストで、ゴンザレス氏が手掛けるデザインは、斬新でありながら親しみやすいやすく、世界中で人気がある。

 ゴンザレス氏とサクラグループは、2011年1月1日から2020年12月31日まで、日本を含むアジア地域における同氏の知的財産を使用した衣料品、アクセサリー等の製造販売のライセンス契約を締結し、2020年12月31日に終了した。
 契約終了後である2021年6月30日に、サクラグループの関係者が、ゴンザレス氏の標章と類似する商標を登録出願し、2022年2月15日に登録査定された。この件に関する商標登録無効審判では、登録商標が公正な取引秩序を害し公序良俗に反する(商標法第4条第1項第7号)、不正の目的でかかる本件商標を出願したことは明らかである(商標法第4条第1項第19号)、著名な略称を含む商標を承諾なく登録したものである(商標法第4条第1項第8号)として無効が認められたが、2004年に登録された「Mark Gonzales」商標(以下、「本件商標」)に関する商標登録無効審判では、商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標の商標権により何らかの具体的な問題や損害が確認できないものであり、本件商標の譲渡の経緯やサクラグループと締結した契約に基づく本件商標の返還を巡る交渉の経緯等の事実によって、本件商標の登録自体が、適正な商道徳に反し、著しく社会的相当性を欠くとまでは認められないとして無効が認められなかった。

 2022年、SHIFFON社は、スケートブランド「Mark Gonzales」を運営する米国のトゥルマイズ社と、日本市場におけるマスターライセンス契約を締結した。