2024-11-06

日本:アイヌ文化に伝わる「二風谷イタ」が伝統的工芸品として地域団体商標に登録 - 北海道経産局

経済産業省北海道経済産業局は、このたび、アイヌ文化に伝わる浅く平たい形状の木製の盆「二風谷イタ」(出願人:一般社団法人びらとりウレシパ)が、特許庁によって地域団体商標に登録された(登録番号第6841210号)と発表した。道内の工芸品では初めてとの登録となる。

「二風谷イタ」の⽊地はクルミもしくはカツラ、盆の表⾯全体にはアイヌの代表的な⽂様であるモレウノカ(渦巻きの形)、アイウシノカ(刺のある形)、シクノカ(⽬の形)などが彫り込まれていることが特徴で、⽂様と⽂様の間のスペースをラムラムノカ(ウロコの形)で埋める「ウロコ彫り」が施されている。

2012年に⼆⾵⾕で受け継がれてきたアイヌ⼯芸の技術や伝統を守るため、⼆⾵⾕⺠芸組合は「⼆⾵⾕イタ」について、経済産業⼤⾂に伝統的⼯芸品の指定を申請し、2013年に北海道で初めて伝統的⼯芸品の指定を受けた。
正規の「⼆⾵⾕イタ」には、伝統的⼯芸品であることを証明する「伝統証紙」が貼付されているが、模倣品に対して権利を主張することはできず、⼯芸家の権利を⼗分に守ることができなかった。⼆⾵⾕のアイヌ⼯芸品全体の知的財産権を保護する⽬的として、伝統的⼯芸品の指定を受けている「⼆⾵⾕イタ」の名称について、「地域団体商標」を取得することが望ましいと判断した。

また、権利の取得にあたっては、「⼆⾵⾕イタ」の産地指定組合である⼆⾵⾕⺠芸組合は任意団体であり地域団体商標出願⼈の要件を満たしていないため、地域未来投資促進法による商標法の特例措置を活⽤し、⼆⾵⾕⺠芸組合の⼯芸家などが構成員として所属し、「アイヌ⼯芸品の⽣産性の向上及びアイヌ伝統⼯芸の継承と担い⼿の育成」を事業⽬的として活動する⼀般社団法⼈びらとりウレシパが出願人として適任と考えた。

もう一つの伝統的工芸品であるアッニ(オヒョウ)等の樹⽪の繊維で⽷を作り、アットウシカラぺを使って織られた反物「⼆⾵⾕アットゥシ」の地域団体商標も現在出願中である。