2025-03-24

工藤莞司の注目裁判:「パクモグ」と登録商標「パクとモグ」は類似するとして侵害請求の一部が認められた事例

(令和7年1月24日 東京地裁令和4年(ワ)第11316号「パクモグ」侵害事件)

事案の概要
 本件は、商標権(登録商標1第5135076号(右図上) 、登録商標2第5135077号(右図下))を有する原告が、被告各標章は原告各商標と類似するから、被告販売「PAKU MOGU(パクモグ)」という名称のミールキット(カット済み・下ごしらえ済み食材、調味料、レシピ等がセットになったもの)の包装等、被告ウェブページ並びに被告チャンネルで公開された動画タイトル等に被告各標章を付すことは、いずれも原告各商標権を侵害すると主張して、被告に対し、商標法36条1項及び2項に基づき、使用の差止め、被告各標章を付したミールキットに係る包装等の廃棄及び被告ウェブページ、被告チャンネルで公開された動画タイトル等からの被告各標章の削除を求めるとともに、損害金(6456万2313円)等の支払を求めた事案である。指定役務は「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、但しパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供を除く」である。                                                           

前注
 被告標章は、同1「PAKUMOGUを各文字毎異なる色彩を付し図案化したもの」、同2「1を二段に表したもの」、同3「PAKU MOGU」、同4 「PAKUMOGU」、同5「パクモグ」、同6「pakumogu-mealkit.jp」で、同5「パクモグ」のみが原告登録商標1と類似すると判断された。また、原告登録商標2については、被告標章のいずれもが非類似と判断された。

判 旨
 原告商標1は、ゴシック体様の片仮名及び平仮名から成る「パクとモグ」と横書きされたもので、文字は全て黒色であって、被告標章5は、ゴシック体様の片仮名「パクモグ」が横書きされたものであり、文字は基本的に黒色である。両者の外観を比較すると、片仮名の「パク」と「モグ」の間に平仮名の「と」が含まれるか否かにおいて相違するものの、その点以外の大部分においては共通している上、原告商標1において、「と」が他の文字と比べてやや小さく記載されていることも考慮すれば、両者の外観は類似するというべきである。原告商標1と被告標章5は、その外観及び称呼において類似しており、同一の観念を想起させるものであるということができるから、前記で説示した取引の実情を踏まえても、原告商標1と被告標章5とが同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれ生じるものと認められる。したがって、原告商標1と被告標章5は類似すると認めるのが相当である。

 コメント 本件事案においては、原告商標1と被告標章5のみが類似するとし、それらの役務も類似するとして原告の侵害請求が認められたものである。被告標章中、同5のみが仮名文字構成で、外観も重視し、そして、原告商標1及び被告各標章は、いずれも物を食べることを意味する「ぱくぱく」及び「もぐもぐ」 を想起させるとの観念の共通性からの類似の判断である。また、被告が、原告登録商標に係る指定役務中「パンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、不使用取消審判で取り消したが、残りの指定役務「菓子の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と被告使用の「ミールキット」は、提供の目的の一致、提供の場所及び手段は一致する場合がある、両者の需要者の範囲の一致、同一の事業者によって提供される場合もある等として類似役務と判断された。そして、被告標章5に係る差止め、破棄、損害賠償も一部認められた。