こんにちは、鈴木三平です。
第24話は野菜・果実関係です。キノコも含めました。「LIMONE」「OLIVA」「PORCINO」「AGLIO」です。
Ⅰ.LIMONE
1.辞書情報
limone[リモーネ](町田亘・吉田政国編『イタリア料理用語辞典』白水社 1992年初刷99ページ)
男 レモン,レモンの実.
注:男=男性名詞
2.商標の状況

<拒絶理由通知書から抜粋>
「「リモーネ」の文字はイタリア語で「レモン、レモンの木」の意味を有し」
3.その他情報
新聞記事(ヨミダス・読売新聞)におけるキーワード「リモーネ」。

4.コメント
「リモーネ」「LIMONE」は様々な登録商標があるし、本件商標登録出願は地域団体商標の「広島レモン」、カーネーションの過去の登録品種名「リモーネ」との関係等も指摘されているが、上記抜粋から、いまやイタリア料理まわりで「リモーネ」といえば、レモンのこと、「商標として機能しない」から、原則自由使用といえそうだ。
Ⅱ.OLIVA
1.辞書情報
oliva [オリーヴァ](上記『イタリア料理用語辞典』119ページ)
女 オリーブ,オリーブの実.
注:女=女性名詞
2.商標の状況

<拒絶理由通知書から抜粋>
構成中の「Oliva」の文字は、別掲1によれば、「オリーブの実」の意味を有する語であり、本願商標に係る指定商品との関係において、その商品が「オリーブオイル」であることを無理なく認識させる語です。
3.その他情報
新聞記事(ヨミダス・読売新聞)におけるキーワード「オリーヴァ OR オリーバ」の検索結果はノイズのみであった。
4.コメント
商標(1)(2)とも、「商標として機能しない」という以外に「先行類似商標あり」という拒絶の理由がかかっているが(「オリバー\OLIVER(関西で著名なソースのブランド)」あたりだろうか?)、読むことのできる(3)の拒絶理由が全てを代表し、「オリーバ\OLIVA」は、食品類について、「商標として機能しない」といえる。
Ⅲ.PORCINO
1.辞書情報
porcino [ポルチーノ](上記『イタリア料理用語辞典』135ページ)
②男 ポルチーニ,やまどりたけ.
注:男=男性名詞
2.商標の状況

3.その他情報
新聞記事(ヨミダス・読売新聞)におけるキーワード「ポルチーニ OR ポルチーノ」の検索結果

4.コメント
上記商標の出願は、商品を「ポルチーニ入りの調理済みパスタ,ポルチーニ入りのリゾット」に補正して登録が認められた。つまり、「ポルチーニ」は、食品類について、「商標として機能しない」といえる。
Ⅳ.AGLIO
1.辞書情報
aglio[アッリオ](上記『イタリア料理用語辞典』5ページ)
男 にんにく.
形:男=男性名詞
2.商標の状況

3.その他情報
新聞記事(ヨミダス・読売新聞)におけるキーワード「アーリオ」は0件。
4.コメント
出願時の指定商品が不明だが、指定商品を補正して登録されたこと、商標と指定商品との関係から、「アーリオ・オーリオ」は「ニンニク+(オリーブ)オイル」を意味し、調理食品類について自由使用だということが、可視化されたものといえる。
<注>
構成は、「1.辞書、2.商標の状況、3.その他、4.コメント」とした。商標・イタリア料理・調査、いずれのプロからも、「半人前」だとの集中砲火を浴びるかもしれないが、多少不十分な点があろうとも、面白いと思える発見があれば幸いである。商標についても、時代によっては情報が薄いところもあり、間違っているところ、私の知らないネタがあれば、「タレコミ」は大いに歓迎したい。
なお、出願人、権利者は表示せず、紹介する商標中に、各社のブランドマークにあたる部分がある場合にも、”trademark”という表示とする。記した番号から調べればすぐ分かることであるが、筆者のいた会社も含めた当事者等が悪者にされる等、話題があらぬ方向に逸れることを少しでも避けたいからである。
* 「指定商品又は指定役務」は、問題となった部分のみで、全部を表示していないことがある。
* 「消滅」は、存続期間(分納)満了、拒絶査定・審決、取消の日等で、確定の日でないものもある。
* 番号は出願番号と、あるものは異議・審判番号のみとし、登録されたものも、登録日のみとして、その番号は省略した。
今回24話めで、累計82件となった。次回は、少し横道にそれて、「出願時期別の情報質量」と「困った登録商標対策」について検討する予定。