(令和7年10月29日 知財高裁令和7年(行ケ)第10040号 「飲めるフレンチトースト」事件)
事案の概要
原告(審判請求人・出願人)は、本願商標「飲めるフレンチトースト」(標準文字)指定商品及び指定役務を30類「フレンチトースト、冷凍フレンチトースト」及び43類「フレンチトーストを主とする飲食物の提供」について登録出願をしたが拒絶査定を受けて拒絶査定不服審判(2024-9943)を請求した処、特許庁は不成立審決をたため、知財高裁に対して、審決の取消しを求めて提訴した事案である。拒絶理由は商標法3条1項6号該当である。
判 旨
本願商標の指定商品及び指定役務と関連する食品業界においては、「飲めるフレンチトースト」(「“飲める”フレンチトースト」、「飲める!フレンチトースト」を含む。⑶アないしエ)、「飲めるパンケーキ」(口に入れた瞬間、溶けるパンケーキ。⑶オ)、「飲めるチーズケーキ」(飲む感じで楽しめるチーズケーキ。⑶カ)、「飲めるプリン」(飲めるくらい、なめらか な食感のプリン。⑶キ)、「飲めるみたらし団子」(口に入れると飲めるような気がするほど柔らかい団子。⑶ク)、「飲めるピザ」(まるで飲めてしまうのではと錯覚するようなピザ。⑶ケ)、「飲めるハンバーグ」(驚くほど柔らかい食感が特徴のハンバーグ。⑶コ)、「飲めるサーロインステーキ」(口の中で崩れていくような柔らかさのステーキ。⑶サ)、「飲めるサーモン」(飲めるほどに柔らかく低温調理されたサーモン。⑶シ)などのように称する、飲めるような食品、すなわち噛まずに飲めるほど柔らかい食感の食品が広く流通、提供されている取引の実情があることが認められる。このような取引の実情を踏まえると、「飲める○○」(○○には食品種別名 が入る。)とのフレーズは、上記のような商品の特性や優位性(食感、特徴) を表すための比喩的な表現として、取引上普通に採択、使用されていると認められる。以上によれば、「飲める○○」(○○には食品種別名が入る。)が商品の特性や優位性を表すための比喩的な表現として一般的に使用されているとの食品業界における取引の実情も踏まえると、本願商標「飲めるフレンチトースト」は、構成文字全体として「飲める(ような)フレンチトースト」又は「飲むことができる(ような)フレンチトースト」程度の意味合いを認識、理解さ せるものである。そのため、本願商標は、その指定商品及び指定役務である 「フレンチトースト、冷凍フレンチトースト」及び「フレンチトーストを主 とする飲食物の提供」に係る需要者である一般消費者をして、商品の特性や優位性(食感、特徴)を比喩的に表現した表記と一般に認識させるものであ り、同種食品の製造、販売又は提供に際し、必要適切な表示として何人もそ の使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公 益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、自他商品役務の識別力を欠くため、商標としての機能を果たし得ないものであり、そのような標章について商標制度を利用した登録を認める必要はないと認められる。したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標であり、商標法3条1項6号に該当する。
コメント
本願商標「飲めるフレンチトースト」は商標法3条1項6号に該当とした審決が支持された例である。記述的商標であり、それも取引の実情からの認定、判断である。原告は、過去の登録例も挙げたが、知財高裁では参考とはされない。判断時は本件審決時である。
